家族とは。
岩崎亜矢
前回ハンバート ハンバートについてコラムを書きましたが、
彼らの最新アルバム「家族行進曲」が、
今年の夏に発売されました。
彼らは、夫婦で音楽活動をやっています。
ただこれまで、夫婦ということを
なんとなーくオブラートに包んでいたのですが、
前回のアルバムあたりからその辺りをなんとなーく解禁しました
(なんとなーく、というのがハンバートらしい)。
「家族行進曲」というアルバム名なので、
当然、今回のキャッチコピーは「家族」をテーマにしました。
他の商品なら、語り口は様々に変化しますが、
ハンバートのコピーの場合は、彼らのむき出しに
こちらも「岩崎亜矢」という人間で球を打ちたいなと思っていて、
基本的に、自分を話者という想定でコピーを書いています。
家族というと、
3年前に亡くなった「父」(である岩崎俊一)のこと、
そしてそれを取り巻く「母と姉と私」という
トライアングルの関係性について書かざるを得ない。
「書かざるを得ない」という言い方をしていますが、
決して書きたくないわけではありません。
ただ、自分を主人公にすると、あれこれと想いは行き交い、
どうしても、筆は思うように進まないのです。
最終的に、ハンバートのコピーは、
「愛は恋より、腹が立つ。
愛は恋より、泣けてくる。」
というものになりました。
父と母とのケンカ、父と姉とのケンカ、父と私のケンカ、母と私とのケンカ…
私が「家族」と考えた時にまず思い浮かんだのは、
ケンカについてのあれこれだったんですね。
そしてすぐその後に、それぞれの笑い顔とか、
父が亡くなるまでの家族のあれこれが思い出されました。
あんなにたくさんケンカしたのに、結局4人、お互い愛していたなあ。
形はちょっといびつだけど、私たちでしか成せない惑星だったなあ。
そんなことを思いました。
先ほど「…というものになりました」と書きましたが、
このコピーについては「自分で書いた」というより、
「気づいたらそうなっていた」という言葉が
とてもぴったりと当てはまるのです。
書き上げた、という実感は正直ありませんでした。
そして。
まだ、あまりたくさんの方に
ご報告が出来ていないのですが、
私も新たに自分の家族をつくりました。
そして来年、2人→3人の家族になります。
小学生くらいの頃にふと、
「おんなじ家族って、ひとつもないんだなあ」と、
参観日か運動会かなにかのタイミングで
同級生の親を見ながら思ったのですが、
私自身、これからどんな家族を形成していくのだろうかと、
こわごわと楽しみが、なんともいえないマーブル模様を作っています。
来週からは、ワイデンアンドケネディのコピーライター、
久山さんにバトンをつなぎます。
久山さんはいつも飄々としていて、
たいてい節分の豆を食べてます。
シンディ・ローパーの「Girls Just Want to Have Fun」を知らなくて、
筋肉についてとても詳しいです。
久山さん、来週からよろしくお願いいたします。
みなさま、遅々として進まないコラムにおつきあいいただき、
ありがとうございました。
岩崎亜矢
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