リレーコラムについて

あっちの人 ①

柴田常文

最初にこのリレーコラムを書いたのは、もう18年も前のこと。
TCCの会員になったのは1978年。なんと40年も前のことだ!
もはや年会費もなしの永久会員、
ホントにありがたいことであります。

タダで会員にさせていただいている以上、
三井ちゃんから「次を書いて!」とバトンを渡されたら、
「はい!」と素直に書かざるを得ない。

もはや古希目前のこの歳になると、
おめでたいお知らせは絶無、届くのは訃報ばっかりだ。
気がついたら、知っている人はこっちの世界より、
あっちの世界にいる人の方が多くなっている(?)

みんな何しているんだろうなぁ? 
ね、岩崎俊一さん!

コピーライター界で知らない人はいない大重鎮でした。
(知らない人は恥ずかしいからネットですぐ調べてね)
2014年12月、享年67歳の若さでこっちを去ってしまった。

仕事をご一緒したことは、ほとんどなかったけれど、
会うといつもニコニコ、ニヤニヤ、
「やってる?」とゴルフクラブを握る仕草で話しかけてきた。
ゴルフも熱心だったけれど、テニスはそれ以上だったと聞く。

ゴルフが終わると、風呂にも入らず「これから仕事!」
と吹っ飛んで帰っていった。コンペでもそうで、
チョッとヒンシュクものだったが、打ち合わせ至上主義の人で
みんなの話をよく聞きながら、
フムフムとその場でコピーを書いてしまった。
みんなの考え、思いを、見事な一行にしてしまう達人だった。

「それが、凄いんですよ。なんて上手いこと
コピーにするんだろ!」と当時の部下が感心して話す。

「その感心の素は、みんなで考えたものじゃないの?
なんで、お前は岩崎さんより先にみんなを
納得させるコピーを書こうと思わんのだ、ったく!」
と説教を垂れると、「そうですけど、無理です!」と
明るく答えるのであった。

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