ハンバーグ
ハンバーグが好きです。
原始人だった頃の自分が脳内で「肉!」と叫ぶのが聞こえます。
そんなときは、家までの帰り道を途中下車し、
ふだん乗らない電車に乗り換え、
原始人も満足するようなハンバーグ屋を訪ねます。
そして炭火焼きハンバーグ350gをひとりでいただきます。
ある休日の昼下がり、
ハンバーグでおなじみのファミリーレストラン「びっくりドンキー」が
テレビで紹介されているのを見かけました。
大変おいしそうだったので
(メニューが木で出来ていて窓のように開くのも良いですね)、
速やかに夫に「びっくりドンキーへ行ってみたい」と伝えました。
すると夫が「早稲田のほうにあるから、自転車で行こう」と言うので、
私は喜んでしぼんだタイヤに空気を入れ、自転車を漕ぎ出したのです。
「けっこう漕いだけどびっくりドンキーまだかな」と思いはじめた頃、
20メートルほど先を走っていた夫が大通りの途中で自転車を止め、
こちらを微妙な表情でゆっくりと振り返りました。
なぜかそれ以上進もうとせず立ち尽くしています。
私は夫のそばまで進み、自転車を止めました。
夫が「ここだと思ってたんだけど……」と言う場所を見てみると、
そこに「びっくりドンキー」は見当たらず、
ハンバーグレストラン「ビッグボーイ」と激安の殿堂「ドン・キホーテ」が
並んで建っていました。
びっくりしました。