リレーコラムについて

「このままでいいんだ」か、「このままじゃダメだ」か。

橋口幸生

「このままでいいんだ」か、「このままじゃダメだ」か。

17人もの人命が失われた、
パークランドの高校乱射事件。
この悲劇に、広告でも反応がありました。

アカデミー賞主演女優賞・助演男優賞を受賞した
映画「スリー・ビルボード」に登場する看板広告に見立てた、
銃規制を訴える意見広告が登場したのです。

Group Launches ‘3 Billboards’-Inspired Ads Calling Out Paul Ryan After Parkland School Shooting

「17人が教室で殺されたのに、銃規制は無し?
 どうしてなんだ、ポール・ライアン?」

と、全米ライフル協会から献金を受け、
銃規制に消極的なポール・ライアン下院議長を
名指しで批判しています。

http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/374784-gun-control-groups-take-out-230k-ny-times-ad-naming-lawmakers-who

こちらの事例は、もっと直接的です。
銃規制に消極的な政治家の名前と電話番号を
リストにして、広告としてNYタイムスに掲載しています。

もちろん、このような広告は無いにこしたことはありません。

しかし「このままじゃダメだ」と
ハッキリ言える風通しの良さは、
さすが成熟した民主主義の国という感じもします。

ここまで極端なものではなくても、
現在、世界的に評価されている広告の多くは、
「このままじゃダメだ」という
メッセージを発信しているように思います。

昨年賞レースを席巻したFearless girl、
バーガーキングがLGBTの権利を訴えたProud whopper、
DoveのReal Beauty Campaignなど。

どれも社会の偏見や先入観にたいして
「このままじゃダメだ」と
変化を呼びかけるものばかりです。

一方、日本の広告の多くは
「オレたち、このままでいいんだ」という、
どちらかと言うと消極的な
自己肯定のメッセージが多いように感じます。

日本の広告が、世界で評価されづらい理由のひとつは、
ここにあるんではないでしょうか。

社会が変われば、広告も変わって当然。

日本の広告が悪い、というわけでは全くありません。

しかし、今の日本の閉塞感を打ち破るには、
もう少し「このままじゃダメだ」と発信する
広告が多くなってもいいのではないか、と思うのです。

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