リレーコラムについて

商品とタレントはどちらが強いのか

タカハシマコト

ニュースサイトしらべぇ編集長をしながら、博報堂クリエイティブディレクターをやっておりますタカハシマコトです。

今週のコラムでは、ニュースを取材・編集しつつも今もTVCM・広告の仕事を続けている視点から、言葉とデータにまつわるお話をしていきます。

さて、広告クリエイターの方なら多くがタレントやスポーツ選手など著名人を起用した広告・CMをつくられたことがあると思います。テレビを見ても、街の看板を見ても、タレントの花盛りですよね。コピーの中にタレントの名前を入れ込んだものもしばしば目にします。

広告にとどまらず、ニュースを見ても、タレントの結婚・離婚・不倫などにまつわる報道が、もっと生活や社会に関わりそうな事柄よりもずっと大事件かのように報じられています。「情けない世の中だ…」と呆れられる方もいるかと思いますが、メディアもビジネス。それを読みたい読者が多いから、そうしたニュースが溢れるのです。

しらべぇが年間約1万本の記事を対象に行っている自然言語解析調査では、「タレントの名前で始まるタイトル」は、平均より66%ページビューが上がることが判明しています。冒頭ではなく文章の中に入れ込んだ場合、PV引き上げ効果は見られません。

あえて乱暴に言うと、タレントの名前をコピーやタイトルに入れるなら、「文章はタレント名から始めたほうがいい」ということになりますね。

一方、コピーでは商品や企業名から書き始める場合もあると思います。ニュース記事のタイトルでも同様です。この場合、ページビューはどうなると思いますか?

あくまでしらべぇ記事を対象にした調査であることを断ったうえですが、商品や企業名から始まるタイトルは、平均より16%ページビューが落ちる傾向があります。細かく見れば、企業によっても差があると思いますし、全体としての傾向に過ぎませんが。

ただ、さまざまなメディアに広告が溢れ返る昨今、生活者がいきなり商品・企業を突きつけられると、ちょっと拒否感を覚えてしまう心情も理解できますよね。

少なくとも文字という形においては、タレント・著名人は商品・企業名より強い。CMタレントは決して惰性で起用されているわけではなく、各社の成果と試行錯誤の結果なのだと思います。

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