カリブ
熊本の法花津さ〜ん、読んでますか〜?
(なんかテレビに出て、田舎のおばあちゃんに
手を振ってるようで、キモチいいですね)
さて京都産業大学、龍谷大学の受験に失敗した僕は、
地元・熊本の私立大学に入学しました。
そして、迷わず「ロック同好会」に入りました。
ロックを同好会でやるなよー!
という声が聞こえてきそうですが、
すばらしくロックなサークルでした。
合宿で強姦されかけ自殺未遂を起こした女の先輩がいたり、
左翼を捕まえてボコボコにしたと自慢する先輩がいたり、
女の子のTシャツの胸元を引っ張って
ブラジャーの色をチェックすることとか、
毎日の日課のようなものでした。
僕も、数人で後輩の女の子を押さえつけ、
コチョコチョ棒でどこが感じるのか
研究していたりしました。
そんなロック同好会に、
宣伝会議のコピーライター養成講座を
受講している先輩がふたりいました。
瀬川さんと今城さんなのですが、
今城さんが今回のテーマです。
今城さんはベースマンで、
ちょっと城みちるに似ていて、いつも青白く、
おそらく薬物のせいだと思うのですが、
歯が、半分くらい溶けていました。
ある日、ロック同好会の定期演奏会
(これまたロックぽくないけど…)が
開催されることになり、パンフレットの
広告スポンサーを集めることになりました。
で、母にお願いして「ハレム美容室」に
広告を出してもらうことにしました。
すると、今城さんが養成講座で
培ったノウハウを駆使して
コピーを書いてくれるというのです。
今城さんは
「俺、デザインもできるんだ・・・」と言いながら、
ハレム美容室の広告をつくってきてくれました。
風に髪をなびかせる女性のイラスト(へた)。
キャッチは、斜体のかかった明朝体で・・・
「カリブの熱い風。」
「カリブっすか?」僕は、すかさず突っ込みました。
今城さんは、溶けかかった歯の隙間から
ロングピースの煙を吐きながら、
「そ、いま、カリブなんだよねー」。
「でも、うちのパーマ屋、おばちゃんしか・・・」
と主張しても、
「わからんだろうけど、これがコピーなんよ・・・」
と遠くを見つめるのでした。
結局、ハレム美容室のキャッチは「カリブの熱い風」に。
刷りあがったパンフレットを家に持って帰ると、
年老いた母は、力なく肩を落としたのでした。
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