ビッグデータで見る広告コピー
タカハシマコト
東京コピーライターズクラブの最も中心的な活動は、「TCC賞の選定」と「TCCコピー年鑑の刊行」と言っても過言ではありません。幹事の中でも多くの方が、この2つの事業に力を注いでおられます。
TCC賞は、コピーのプロが選ぶコピーの賞。自らが優れた技術と視点を持つプロだからこそ可能な、質的評価です。
ところで、毎年話題になる「流行語大賞」が選考委員による質的評価だとすると、実際に人が興味を持った言葉を発表する「Yahoo! 検索大賞」は量を目安にした評価。こういうことが、広告コピーでもできないかな、と考えました。
僕は幹事としてTCCの広報を担当していますが、2015年にTCC広報プロジェクトとして立ち上げたのが、マッシュアップでつくる「今年のコピー」。TCCに応募された作品をビッグデータ解析にかけ、「最も多い文章構造」「多く使われたor昨年比でもっとも伸びた言葉」を解明して、1本のコピーにするという企画です。
2015年は「あなたのことは、好きだ。」
翌年は、「あなたたち日本人。」
昨年は、「不安とか、希望とか会う?」
でした。ある程度日本語として成立する形にしていますが、解析結果には基本的に筆を入れていません。リオで五輪が開催された2016年、日本を見直す番組なども増えている中で、日本や日本人という心情に訴えるコピー/単語がもっとも多くTCC賞の応募されたというのは、興味深い結果でした。
昨年の結果からは、不安という言葉が、希望よりも多く使われていることが、テロやミサイル、少子高齢化など、不透明な時代を表しているような気もします。
昨年末に発表したものですが、もしまだご覧になっていない方がいたら、昨年のくわしい調査結果は、以下のURLでご確認いただけます。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000003505.html
TCC賞のように続いていくかはわからないし、誰かを表彰するものではありません。でも、日本で最も多くのコピーが集まるTCCだけが発表できること。願わくば、5年後、10年後の変化はどんなふうになるだろう、と想像していたりします。
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