リレーコラムについて

隠れ営業志望の男 その3

森田直樹

「じゃ、明後日テストがあるので来てください」

テストって何だろ?まあきっと、漢字の書き取りかなんかだろう。
という程度の貧困な想像力しかなかった。
実際はですね、かなりてんこ盛りの内容。当たり前だけど。
コピーやら長文やら漢字やら、いろいろ書かされた。
何書いたなんて全然覚えてないが、何も知らない者のひらきなおりで、
そうとうデタラメなことを書いた気がする。
1週間後、電話がきた。
「内定しました」
本気かよ、この会社!でもなんか、涙が出そうな気がした。
いそいであの先輩に報告しなきゃ。
俺を救ってくれたあの人に!

昼間だったし、オフィスに電話してみた。
「ああ、彼は3日前に辞めましたよ」

その人は、コピーライターを廃業した。

俺ってやばい世界に足をつっこんだ?
やばいに決まってる、そもそも営業志望なんだよ俺。

これを書いていると、あの頃の情景が鮮明に思い出せる。
選択の余地のない人生がいよいよ始まった。

NO
年月日
名前
5854 2025.02.04 大塚久雄 これまた突然だが、
5853 2025.02.03 大塚久雄 突然だが、
5852 2025.01.31 鈴木拓磨 アイ・ドント・ノウ・ユー
5851 2025.01.30 鈴木拓磨 石に刻め
5850 2025.01.29 鈴木拓磨 名入れのペン
  • 年  月から   年  月まで