リレーコラムについて

キーボードについて。

川村聡

みなさん、はじめまして。カワムラ広告制作所の川村 聡と申します。
今日から一週間このコーナーを担当させられ‥‥
いや、担当することになりました。
文章を書くことを生業としていますが、コラムなんぞを書くのは生まれて初めてです。よ〜し、書くぞー。
で、何について書くか、が問題です。
困った、困った。どうしよう、う〜んとうつむいたら、そこにはパソコンのキーボードが。
よし、決めた。今日はキーボードについて書きます。(なんて安易な)

さて、僕がこの仕事を始めた頃(今から10年ぐらい前)は、
手でコピーを書いてるコピーライターがまだいた時代でした。
必然的に道具は、えんぴつやボールペンや万年筆です。
コピーライターも職人ですから、けっこう道具にこだわる人が少なくなかった(はず)。
「えんぴつはHBじゃなく、Fだ」とか、
「ボールペンの柄の太さは、このぐらいじゃきゃいかん」とか、
「パーカーの万年筆じゃなきゃ、いいコピーが書けない」なんてね。
それが、あっという間にワープロやパソコンへとってかわったわけです。つまり、直接手にふれる筆記具はキーボードへと。
じゃ、今度はキーボードにみんながこだわったかというと、
そんな人はあまり聞いたことがないんだな、これが。
せいぜい、拡張キーとかのついた社外品(パソコンに最初からついてなかったヤツ)に換えている人が少しいるぐらいです。
いたとしても、デザイナーに比べたら圧倒的に少ないでしょう。
これって、変ですね(変だと思う僕が変なのか?)。

僕は、たまたま会社にあった富士通製のワープロを使っていました。
で、日本人だからと“カナ入力”で書いてました。
それがすべての始まりだったのです。
当時の富士通製のワープロといえば、そう親指シフト。
専門的にいうとNICOLA 配列というキー配列になっていたヤツです。
つまりJIS規格とはじぇんじぇん違う独自のスタイル。
これがスグレ物でした。僕のこだわりの道具です。
ここから少し込み入った話になります。

そもそも、なぜ多くの人がJIS規格ボードでローマ字入力をしているか、という話へびよ〜んと飛びます。
日本人なのにローマ字入力。ローマ帝国の人じゃないのにローマ字で入力してるんです。
理由は、タッチタイピング(キーボードを見ずにチャカチャカ打つことね)がしやすいから。
ローマ字は26文字しかありませんから、キーボード上における指をほぼ定位置においた状態で文字が打てます。
カナ入力にすると文字の数は50音というぐらいで約倍の数ですから、指を定位置においた状態での文字入力は困難になるわけです。
これはタッチタイピングにおいて致命的なこと。
だから、日本人が日本語を打つのに(くどい)もかかわらず、ローマ字を用いているのですね。

で、話を戻します。僕が使っていた富士通製のワープロがなぜすぐれていたのか、という話です。
このキーボードには、ひとつのキーに2つの文字が配されていました。
「え」と「か」、「り」と「た」はそれぞれ一つのキーです。
どちらの文字を打つかは親指の所にあるシフトキーで選択します。
これがいわゆる親指シフトです。(聞いたことはあるでしょ)
だから文字入力に使うキーの数は30ぐらい。
ローマ字入力と大して変わりません。
つまり、タッチタイピングできる。
日本人が日本の「かな」を使って、タッチタイピングできるのです。
「か」という文字を入力するのに「K」「A」と打たなくても、
「か」と打てます。
打つキーの数はローマ字入力の“半分”ですむ。(画期的!)
しかもタッチタイピングで早く。
さらに、ローマ字入力のタッチタイピングよりも早い。
これが、このキーボードのすぐれていた所でした。

ワープロからパソコン(Mac )になっても、僕はこのタイプのキーボードを使っています。(新潟のリュウドという会社製)
で、タッチタイピングを心がけています。
他人に読んでいただく文章を書く仕事をしているので、
他人が読む早さで打たなくては、という理由からです。
(だらだらと書いてきた結論がこれです)

あ、そろそろ納品が近づいている仕事のコピーを書かなくては。
僕はカナ入力で書いているので、ローマ字入力の人が
2時間かかるコピー書きを、半分の1時間でできる‥‥
‥‥わけがなく、時には4〜5時間かかってしまいます。
あれ、変だな。

見え透いたオチがついたところで、また明日。

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