リレーコラムについて

続けられなかった連載

水本晋平

会社の後輩・田中ケンちゃんから
バトンをもらいました、水本と申します。

ケンちゃんとは、
いくつかの仕事を一緒にやっていますが、
毎回の打ち合わせで感心させられています。
感心させられすぎて困っています。
才能もモチロンそうなんですが、その努力量に。
よくその数思いつくまで粘るなぁと。毎回。
ちゃんと打席に立ち続けるんですよね。
聞けば、企画を考えながら家から公園を歩き、
たどり着いたカフェで思いついた企画をコンテにする。
そして、コンテを描き終えたら、
また帰り道の公園で歩いて企画を考えて、
そこで思いついた企画を家でコンテにする。
という「企画散歩」を繰り返したりしているそうです。
冷房の直風が当たらなくて電源があるカフェの席を
だらだらと探し回り、新作フラペチーノだけ飲んで
そそくさと家に帰ってしまう僕とは大違いです。
しかも4年目でいろいろ経験した上で
「最高に楽しい仕事」とまで言い切るんだから…。
末恐ろしく頼もしい男です。

自分が4年目の時を思い返すと、
楽しい仕事かどうかわかるより
もっと手前に僕はいまして。
「企画を思いつくって、結局才能なんかしら」という
なんとも漠然とした悩みを持っていました。

そんなタイミングの2017年。
ちょうど、汐留にある「アドミュージアム」が
リニューアルのオープニング企画展を募集しており、
同期のADの加藤千洋(JAGDA賞おめでとう!)と一緒に応募して。
どうせなら、自分たちの悩みをそのまま展示にしよう、と
「思いつくを考える展」という展示を提案して、
やらしてもらえることになりました。

その企画とは、
当時の企画趣旨文言を引用すると
ざっくりこんな展示でした

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大御所ミュージシャンが、ヒット曲の誕生秘話を聞かれ、「トイレでふっと思いつきました」と答える。それを読んだファンは、なるほど、アイデアとはこういう特別な人の特別な産物なのかと妙に納得してしまう。「思いつく」という言葉が曖昧であるがゆえに生まれる「壁」である。ものを考えたりつくったりするということが、先天的な才能かのように感じてしまうし、ものづくりに取り組もうとする若者は、自身の現状と比較してむなしい嫉妬心にさいなまれる。
人の心を動かすアイデアや、世の中をアッと言わせる商品を思いつく。それは、一部の人だけが持つ特殊能力なのか。それとも、自分にもできるものなのか。その答えが知りたくて、電通4年目のコピーライター水本晋平と、アートディレクター加藤千洋とで企画したのが、現在アドミュージアム東京で開催中の「『思いつく』を考える展」。
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会社の大先輩である
白土さん、牧口さん、倉成さんに毎週展示内容を見てもらい、
“企画とは何か”を浴びるようにインプットできた
それはそれは充実した半年間でした。

そして、この展示が周りからも結構好評で。
展示終了後の2018年春頃から会社のWEBメディアである
『WEB電通報』で連載をもてることになったんです。
続ければ、書籍化とかもできるかもね、なんて言って。
記念すべき初回がこちらです。

澤本さんもわざわざ Twitterで
「もう終わっちゃった展示だけど、ここに水本くんが書いてることはものすごくわかるんで→」
と紹介してくれて嬉しかったことを覚えています。

でもですね。
うまく書かなきゃ!というプレッシャーに、
勝手に押しつぶされ、途中で筆が進まなくなり、
2018年から実務が一気に忙しくなったこともあって(カッコ悪い言い訳です)
前代未聞だと思うのですが、連載を0話と1話で終わらせてしまいました。
しかも、今読み返してみると、普通にめちゃくちゃ読みにくい。
すごい低レベルなところで悩んでたんだなぁと恥ずかしくなります。
当時の関係者の皆様にもご迷惑をおかけしました。申し訳ありません。

つくづく、綺麗にバットを振れるかよりも、
打席に立ち続けられることの方が
大事な場面もあるよなぁと感じます。
僕はそれが苦手なので余計に。
取れもしない、100点が取りたくなっちゃって。

先週話題になった、
「大社 vs 早実」の壮絶な試合。(甲子園の話です)
11回に代打・初打席で、見事バントを決めた大社の安松選手は、
「ここでバントを決める自信がある者、手を挙げろ」という監督に対し、
公式戦の出場経験もないのに「サード側に決めてきます」と手を挙げそうです。
その勇気すごすぎる。
聞けば彼は、ずーっとバントの練習だけしてきたそうですね。
努力と勇気はきっと比例するのでしょう。
(野球の例えに、野球のエピソード重ねてすみません)
(ドカベンの山岡を思い出す、
大社センターのトンネルエラーもすごかったですね)
(漫画のあの試合も結局は明訓が勝ったので、なかなか運命的です)
(水島漫画では『ストッパー』という野球漫画が一番好きです)
(そこで手挙げられる?話でいうと、
ミスチルのHEROの歌詞冒頭も大好きです)
(そしてHEROと、ワンピース109巻コラボMV最高でしたね)
(てっきり与件かと思ったら、提案だったそうで。
企画した博報堂さんのチームに大拍手です)

結局2回しか書いてない
WEB電通報の連載を恥ずかしながら読み返すと、
こんな一節がありました。

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脳科学的には、脳を整理整頓し集中するための回路を「デフォルトモードネットワーク」と呼び、散歩や入浴など、スマホなどと切り離された環境をつくることで活性化する。事実、茂木さんはほぼ毎日朝のランニングでこの時間を欠かさないという。私も歩くようにアドバイスをされ即実践しようと、茂木さんへの取材後、次のプレゼン先まで40分歩いて移動をしてみたが、全く習慣化せずに終わってしまった。今年こそは…。
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なんと、4年目の僕も、
脳科学者・茂木さんに触発されて
「企画散歩」に挑戦していました。

そして、たった1回で挫折していました。

こりゃあ、ケンちゃんに勝てるわけない。
僕は茂木さんに聞いてはじめて知ったのに、
自力で「デフォルトモードネットワーク」に辿り着いているし。

しかし、このままでは先輩としてのメンツが…。

なんとか勝つ方法を一生懸命探しました。
スタッフも一生懸命探しました。
そして、見つけました。

ケンちゃんは先週、月〜金で5回書くチャンスがある
TCCリレーコラムを4回しか書いてませんでした。

これはチャンス。
今週のリレーコラム、5回書くことで
打席数で上回り、なんとか数の論理で
威厳をたもってみようと思います。
(もしかして、僕にそのチャンスをくれるために4回で止めたのか…?)

書き溜めた原稿はもちろんありません。ストック0。
今度こそ連載は続くのか。
突然の打ち切りもあるのか。

お楽しみに!

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