リレーコラムについて

あるコピーライターの話:4

後藤国弘

 いわゆる業界(なんてカッコ悪いコトバ!)の友人たち夫婦を改めて見てみると、同じ場所で仕事をしている人と一緒になってることが多いようです。僕の近くにいる仲間たちだけでも、カメラマンと出版社の社員、ヘアメイクとスタイリスト、タレントとスタイリスト、ミュージシャンとモデル、音楽のプロデューサーと広告のプロデューサー、などなど。他にも、コピーライターとお寿司屋さんの娘さん、コピーライターと和菓子屋さんの娘さん、アートディレクターと経理担当、中には、イラストレーターとスチュワーデス、アートディレクターと看護婦さんなんていう羨ましい!夫婦もいたりします。でも意外とというか、やっぱりというか、コピーライターとコピーライターの結婚って、そんなに無いんですよね。僕の知ってる限りでは、一組だけかも。やっぱり多いのが、コピーライターとアートディレクターまたはデザイナーというパターンです。

 で、今夜も僕の友人の、あるコピーライターの話を。彼の奥さんはフリーのアートディレクターなのですが、二人で仕事をしようと思えばできるのに、ほとんど一緒に組まないんです。二人の実力に、そんなに差があるようにも見えません。二人ともフリーなんだから、一緒に仕事したほうが家計的にも助かるんじゃないか?などと余計な心配もしたりして僕は彼に、夫婦で組んで仕事しない理由を聞いてみたことがあります。彼は答えてくれました。「得意先の担当者や代理店のクリエィティブ・ディレクターから、自分のコピーに対して『いまいちピンと来ないんだよね〜』とか『見たことないコピーが見たいんだよっ!』とか『最近ちょっと忙し過ぎるんじゃない?』とかキツイこと言われたとしても、そんなの全然なんてことないさ。でも俺のコピーを見たカミさんから一言『これ、おもしろい?』って言われてみ?これがメチャクチャ、こたえるんだよね・・・」

 アートディレクターである奥さんは、「私は、そんな言い方しない」って言ってます。性格が別にキツイわけでもありません。いやむしろ彼女は、とても穏やかな女性です。なのに、その素直な一言がキツイなんて、プロのコピーライターとして、どうなのよ?と思ったりもしました。でも彼の話を聞きながら、そんな単純で複雑な人間だからこそ、彼はコピーライターという仕事を続けていられるのかもしれないなあ・・・などと思ったりもしました。では、また明日。

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