和菓子屋のせがれです。
はじめまして。
後藤さんからバトンを受けました鵜澤敏行と申します。
37歳になりますが、今年、新人賞を頂いたばかりです。
で、この場は、自己紹介の場にしたいと思います。
と言っても、現在の自分の状況と言うよりは、
どんな風に育ってきたのか?とか、どんな人がまわりにいたのか?
などをお伝えしたいと思います。
(それで今の私があるわけですから…。)
ま、そんなこんなで1週間、おつきあい下さい。
***
さて、僕の生まれた所は、東京の
どちらかというと川の手と言われるあたりです。
実家は、和菓子屋を営んでおりました。
和菓子屋と言うと、皆さんは和紙に包まれた高級和菓子を
想像されるかもしれませんが。
そうだなー、よく、スーパーで売ってる
だいたい150円くらいで6個くらい入ってる
ほら、あの透明なパックに入ってるやつです。
それでも、僕は、幼稚園の頃から
将来は和菓子屋になりたくて、親たちと一緒になって
よく仕事場で粉だらけになって自分なりに研究を重ねていました。
***
あれは、小学校の5年生か6年生の春だったでしょうか。
新しいクラスだったので、
「僕のうちは和菓子を作っています」と自己紹介をしました。
案の定、食いしん坊のクラスメイトたちは、その日さっそく
「ウザワくんちに行こう」と、言いはじめました。
もちろん自分ちの製品に相当の自信を持っていた僕は、
友達を招き、どうだとばかりに自慢の和菓子(まんじゅう)を
みんなに差し出しました。
すると、ほぼ全員同じ表情をしているではありませんか。
「これか〜」といった、落胆した感じの。
みんなは、和紙につつまれた上品なモノを想像していたんでしょうね。
***
僕はその時、2度と自分のうちは和菓子屋であると
公表するのはやめようと思いました。が
中学になっても、高校になっても、大学生になっても
いつの間にか友達に話してたし、言えば必ずみんな家にやって来たりして、
しかも「おまんじゅう」なんてあだ名をつけたりして。
でも、僕はやっぱり家の和菓子は好きだったし、そんなに悪い気はしなかった。
さらにこんな場でも公表してしまったりして。
おそらく、風のたよりに実家は和菓子屋だと聞いてる方がいらっしゃると思いますが
残念ながら父と母は年老いてしまい店は畳んでしまいました。
もう、あのまぼろしの銘菓は、僕の心の中でしか食べることはできません。
と、いう感じで、明日は家族の話です。
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