リレーコラムについて

さいきんの仕事

武藤雄一

最近の仕事の中で「これはいいコピーを書けたな」っと思える
仕事が1つあります。それは、ある歌のCDのコピーです。
沖縄のさとうきび畑を題材に戦争のことを歌っている歌です。
「全然お金はないんだけど、コピー書いてくれませんか」
そう言われて、東京のド真ん中のレコード会社の大きな
オフィスの中ではじめてその歌を聴きました。小説のように
長い歌でした。歌っている歌手は有名な実力派の女性です。
その歌はとても古く30年以上前にできた歌なのですが、その頃
から彼女は歌い続けているのでした。
聴き終わったあとに僕は「この歌を沖縄のさとうきび畑の
中で聴きたいです」という言葉を言っていました。
それからすぐに僕は沖縄へ行きました。沖縄の人に聞くと
「この歌のようなあたり一面さとうきびという風景はもう
 沖縄本島にはない」と言われました。本島のさとうきび畑は
小さな野原見たいで向こうにすぐに家や他の植物が見えまし
た。そんな風景の中でその歌を聴いて、何本かのコピーが
できました。そうして東京に戻って、レコード会社のディレ
クターにコピーを見てもらいました。「すごくいいですね」
彼はそう言ってくれました。コピーはレトリックも使って
ない、まるで普通で素直なコピーです。でも沖縄に行かなけれ
きっと書けなかったコピーです。しかし残念なことにその
コピーは会社の上の人達のある事情で、世に出られなくなって
しまいました。だから、一生誰も見ることのできないコピーで
す。ちなみにどんなコピーだったかというと、やっぱりご
紹介するのはやめます。やっぱり世に出なかったコピーはコ
ピーじゃありませんから。

NO
年月日
名前
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