変な社長シリーズ3「小ネタ集」
●ボイン社長
広告にあれもこれも入れてくれ、という社長がいました。「ボインの女性がいたとします。あれこれと言うよりも、この人はボインだ!といった方がわかりやすいでしょ」と僕は少し反論してみました。するとその社長は、一瞬、きょとんとして「そしたら、わが社はボインっちゅうことでっか」といってヒィヒィ喜んでいました。
●成金批判の社長
会社の強みを質問しました。するとその社長は「そやけどな、成金はあかんで」と答えました。僕は何のことかわからなくなったのですが、その社長は話を止めません。「わしがこの会社をつくったときは、戦後のどさくさで、まわりは成金がうようよおった。そやけど、成金なんかすぐに没落したわな」と延々数時間にわたって成金批判を繰り返し、結局、その会社の強みがなになのか、わかりませんでした。
※以上の2つの話は、TCC新聞にも掲載されました。
●怪しい社長
ゴキブリを超音波で撃退する装置を販売する会社がありました。ほんまかいな、という感じです。訪れると50歳くらいの社長だけで、社員はいませんでした。パンチパーマ、ゴールドのチェーンとブレスレット。がっちりした体格。蜘蛛の巣のような模様が入ったスーツ。怪しいな、いややな、怖いな、と思っていたら、奥のドアからいきなり若い女性が登場。事務員らしき制服を着ていましたが、髪の毛は乱れていました。僕は、そのとき、ドアの向こうに布団が敷かれてあったことをしっかりと目撃してしまったのです。その会社、結局は編集部の審査に引っかかって、掲載不許可になりました。ああ、よかった。
●和歌山パンフレット事情
和歌山の会社。パンフレットのプレゼンテーション。表紙は、空の写真を使ってくれというオーダーだったので、その通りにしたのですが、「こら、あかんわ」と言うのです。「え?でも、空の写真を使うということだったので」。「空はええんや。そやけどな、この色はあかん。最近、ここらあたりでは青色を使うパンフレットが流行ってるんや。ほら」。と見せてくれた他社のパンフレットは確かにブルーを使った表紙が多かったのです。仕方がないので、曇り空の写真を使うことになってしまいました。和歌山の会社って、やっぱり青空のイメージなんでしょうか。
●ポルノ小説風広告の顛末
大手家電の関連会社。家電がいかに生活に密着しているのかを表現しようということになり、ポルノ小説風の雑誌広告をつくりました。キャッチは「団地妻・桃子の嘆き」。僕としては、かなりの力作でした。先方の若い担当者も大喜びでした。あまりにもトントン拍子で進むので、ちょっと不安になるくらいでした。色校チェックという最終段階になって、たまたま通りがかった社長がその原稿を見たそうです。予想通り、ばば怒り。大爆発。その場で原稿は破り捨てられ、仕事そのものがキャンセルになってしまいました。さらに、その若い担当者は、別の部署に飛ばされたそうです。本当に悪いことをした、と今でも思っています。
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