リレーコラムについて

コピーの素

植松眞人

コピーの素。

コピーライターになるつもりなんて、毛の先ほどもなかったなあ。たまたま、コピーもデザインもしなきゃいけない所にバイトに行って、そのままプロダクションに移って、どっちが得意って聞かれて、どっちかって言えばコピーですかねえ、って答えたのが運のツキ。そのまま、コピーライターってことになっちゃったんです。
最初はコピー書けって言われても、何をどう書いていいのかわからなくて、大好きな桂枝雀の落語のように書いてました。落語って、状況説明を言葉だけでするじゃないですか。だから、伝えなければいけない内容をわかりやすく説明するのにとても便利だったんですよね。
ほんとに、落語によくでてくるパターンを使いました。落語では「ほら、わしの指の先を見てみ」「爪が伸びてるなあ」「爪やないがな、爪の先」「アカがたまってるで」「ちがうがな、指さしてる方を見てみいっちゅうてんねん。雪がちらちらふってる中に、松の木がニュッと生えてる黒い塀の家があるじゃろ」「みえん」「みえんて、みえるじゃろ」「いや見えん」「松の木と黒い塀が見えんか」「松の木も黒い塀も見えてるで」「ほな、何が見えん」「ちらちらっちゅうのと、ニュッいうのが見えん」とまあ、こういう風に、説明していくんですな。それをそのまま会社の説明文なんかにつかいました。「○×株式会社という会社です。国道1号線をまっすぐ走って、△△の交差点をぐぐっと左に曲がると到着です。ぐぐっと曲がると書きましたが、ぎゅぎゅっと曲がっていただいても結構です」とか書いてると、なんだか自分でも楽しくなってきて。お笑いコントの台本を書いているような気分で、コピーを書き始めた気がします。いいコピーを書きたい、とか、格好いいコピーを書きたいとか、ほんとに思ったことがなくて…。自分の書いたコピーが、いいとか悪いとかの判断はできな,かったわけですが、少なくとも書いている時に、面白いとは思っていました。だから、続けちゃったんでしょうね、こんなに長く。それが良かったのか悪かったのか。う〜ん、その判断はこの後の数年で決まるような気がしています。くわばらくわばら、くわばらかずお。

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