リレーコラムについて

箸が転んで

吉沢佳子

私の人生にマラソンなんて、出てくる余地なかったのに。
走るのは好きだったけど、
400メートルも走るとゼーゼー言ってたんだから。
でも400が500に、700に、1000に・・・
そのうち1.5キロぐらいは続けて走れるようになってくるから身体は不思議。
我が家から1.5キロ先に、元中野刑務所、いまは平和の森公園があるのですが。
6時半。近所の人たちが集まってラジオ体操をしている。
そこへ飛び込んで後ろの方で参加させて貰って、
終わるとまた1.5キロ走って家に帰る。
そんなことを3か月ぐらいやったでしょうか。
3か月間ピリとも動かなかった体重計の針が、ついに動いたのもこのころ。

「マラソン出ようって人なら、続けて10キロぐらいは走れなくっちゃね」
経験者に言われてよーし、走るぞ、10キロ。
走るには走ったけど、その日は1日寝てました。
次の日、もう1回走ったらあれ? なんともない? 
カラダって変わるんだー。変えられるんだー。大発見でした。
そういえば、走りはじめてからは身体の声をよく聞くようになりました。
雨にも負ける。風にも負ける。決して無理はしません。

だけどだんだん気持ちが暗くなってくる。
42.195キロって、どんな距離なの?
まったく理解できない。身体に刻めない。
いくら10キロが走れても、ああ、これをもうあと3回とちょっと繰り返さないと42キロにはならないのね・・・思っただけで気が遠くなる。

しばらく10キロ走を続けた後、1周5キロの皇居4周するつもりでやってみたら、あれー?6周できちゃった。はじめての30キロ体験。これでちょっと安心したらもう本番でした。

ホノルル・デビューまでの6か月間の私の自己流トレーニング。
なんせ体育系未経験者だからすべてが新鮮。何をやっても自己新記録。
箸が転んでも笑い転げてたあのころみたいに、楽しく走って5時間45分。
「練習はあなたを裏切らない」この言葉はホントでしたね。これほどの達成感、仕事でもそうは味わえません。

貝殻のネックレスをかけて貰ったとき、突然次の計画がひらめきました。
そうだ、毎年どこか、世界のマラソンを走ってみよう!

吉沢佳子の過去のコラム一覧

0599 2002.02.12 バーチャル・チーム
0598 2002.02.08 走撮家
0597 2002.02.07 2001年パリ
0596 2002.02.06 箸が転んで
0595 2002.02.05 走る女
NO
年月日
名前
5720 2024.07.18 権八成裕 20年ぶり2回目
5719 2024.07.12 吉兼啓介 短くても大丈夫
5718 2024.07.11 吉兼啓介 オールド・シネマ・パラダイス
5717 2024.07.10 吉兼啓介 チーウン・タイシー
5716 2024.07.09 吉兼啓介 吉兼睦子は静かに暮らしたい
  • 年  月から   年  月まで