物書きの独りごと 3
柏木新
コピーライターの柏木新です。いや、物書きの柏木新か
な。
いつの頃からか、「テレビCMは十五秒のドラマ」とか
いわれるようになりました。それからずいぶんと時間が経
過しました。まだまだ続くはずです。とても短絡的な結論
ですが、差別化しにくい商品を差別するには、ドラマ化す
ることが適しているからでしょう。
昨日紹介した一部の句は、テレビCMに似ていると、自
分では思います。だからといって、テレビCMが嘘つきと
いうわけではありません。事実の一部を巧みに切り取って、
再構築しているのです。
コピーと小説。書くという作業での違いは、凝と拡、実
と虚、とても明解です。でもね、コピーと俳句の違いは、
整理しようとしているうちに、しだい境界が曖昧になって
しまいました。どうしよう。
これが俳句だとか、これがコピーだとか、こうじゃなき
ゃいけないとか、目の色を変えるほどのことじゃない、の
かもしれませんね。
こんなのどうかなって、キャッチフレーズになりそうな
句もあります。自分じゃあ、勝手にそう思ってます。使っ
てもらえるところがないかなあ。なんだか、話がこんがら
がってきちゃいました。
春からの恋を呑み干す生麦酒
ビールのメーカーなんかに、いいんじゃないかなあ。
二番目の父少し酔う七五三
蔵元か日本酒醸組合中央会なんてのに、お勧めなんですが。
ニの酉や地下鉄までを流れ行く
東京都交通局とか帝都高速度営団とかに、よろしいのでは。
新米をテンテケテンと食いにけり
特製のテンテケ飯椀なんか、プレミアムにしてはどうかな。
箱根から小田原までの湯冷めかな
浴用剤とか風邪薬のコマーシャルに、向いてるじゃ。
菜の花に菜の花続く山低く
向日葵は海に向かってワオと咲く
美女消えて跡茫茫の芒かな
世の中は走る人あり 昼間の湯
電鉄会社とか観光地とかの、ポスターに使えそうですが。
新築のドアには降るな春の雨
住宅メーカーから、家を建てたよろこびを伝えてください。
浴衣着て鏡見て下駄履いて祭り(花火でもいいかなあ)
和装品を扱う会社や部署ですすめるプロモーションに。
交番も秋刀魚を焼くか南風
親しめる警察ということで、警察庁にお勧めする次第です。
マイナスのイメージが強く、キャッチフレーズにならな
いだろう、という句もあります。それではまた明日‥‥。
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