リレーコラムについて

60→360

正樂地咲

きょうも正樂地が大阪中央区をキーステーションにお届けします。

本日のトークテーマは「60→360」です。

 

私はラジオCM60秒をつくるのが好きなのですが、

つくったものを聴いてくれていた会社の先輩が、

別の仕事に誘ってくれたことがありました。

 

それはお菓子のテレビCMで、母と娘の絆を描くヒューマンもの。

WEBムービーではさらに本格的なドラマをつくるということで、

それが6分ほど尺がいると。それを書いてみないかということでした。

 

ラジオCM20秒とラジオCM60秒を、違う脳みそで書くように、

ムービー6分もまた、それ仕様の脳みそが必要そうだ…。

でも手がかりがないので、とりあえず、大枠から考えよう。

このままでは1文字も書けないので、書く前に、大枠だ。

 

思春期の娘とその母親がケンカして、その後、そのお菓子がきっかけで、

仲直りして、さらに関係性を深めるのがいいかも。

そこまでは割とすんなり決まった。その事象をピークとする6分にしよう。

 

何でケンカしたのだろう。このケンカを通して、思春期の娘は

大きく成長して欲しいし、親子の絆も深まって欲しい。

とすると、娘のわがままや、親のエゴが原因のケンカになると、

すごく小さな話になってしまう。

親のやむを得ぬ事情に、子が巻き込まれる形でのケンカなら、

どちらの気持ちにも寄り添って見られそう。

 

引っ越しだ…!

 

親の事情で引っ越しして、子の生活が急に変わり、学校に馴染めず、

そのストレスを親にぶつけ、自己嫌悪にもなるが、

お菓子をきっかけに腹を割って話すことができ、

それをきっかけに学校でも自分が出せるようになる。

この一連を書こう。

 

ここからは、また、学校に馴染めない様子の描き方、親へのストレスのぶつけ方、

自己嫌悪の見せ方、仲直りのシチュエーション…とシーンごとに紐解き書いていく。

 

と今、振り返ると、こんな風に書いてたなと思うけれど、

当時は初めての台本にしっちゃかめっちゃか。

書き方を探しながら、書いている。洞窟をあっちゃこっちゃ掘ってるような。

はじめてのことって、何でこうも、ぐちゃぐちゃに。

 

声かけてくれた先輩が、私が納得したものが書けるのを待ってくださり、

赤ペン先生にもなってくださり、励まし慰めて、ごはん食べ、

時に一緒に台本の音読などもしながら、それはまるでムービーの親子。

 

まぁ空想の娘は17歳で、私はその時33歳。

学ぶことが終わらぬ間は、一生、思春期なんだろう。

 

今日の枝葉写真:いまは38歳。最近、ひとり焼肉おぼえました。

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