一本のコピーが、僕の人生を変えた。
現在まで、僕はこうしてかれこれ20数年間も
コピーライターをやっているわけですが・・・。
もし一本のコピーに出合わなければ、
まったく別の人生を歩んでいたと思います。
それは、18歳で家を飛び出し7年が経った頃のこと。
それまでヒッピーやらヨーロッパ放浪やら
好き勝手に生きてきて、
そろそろ自分の進路にアセリを感じはじめたそのときに、
一本のCMと出合ったのです。
その内容といえば、こんな感じ。
当時新進気鋭のファッションデザイナー三宅一生氏が、
グラス片手にこう言ってのけたのです。
『ニューヨークでは今、
30代の新人が脚光を浴びている。
人間基本が大事なんだよね。
30代の新人に拍手を贈ろう。』
このサントリー角瓶のCMを見た瞬間、
僕の目からウロコがスポポ〜ンと飛び出しました。
「30代の新人か〜。
うん、基本が大切なんだよ経験が。
30歳で一人前になればいいのなら、
俺だってまだ5年もあるよ。
だったらもういっぺん、
新しいことに今からチャレンジしても遅くないよね。
いや〜ぁ、サントリーはいい事言うなぁ〜!」
まさしくこのコピー一発で、
僕はなぜだか妙に勇気づけられてしまったのです。
ところがまだ続きがありました。
ぼくがしきりに「サントリーはいい事言うね〜」と
口に出して感心していたら、
隣でテレビを見ていた友人がポツリとこう言いました。
「バーカ、その言葉はサントリーが言ったんじゃなくて、
コピーライターが考えたんだよう!」
「・・・・コ・コピーライタァ?なにそれ」
はずかしながら、ぼくはその瞬間まで
コピーライターなる職業があることを
まったく知らなかったのです。
というか、広告は各企業が、
自分たちでつくっているのだと思い込んでいたのです。
「ねえ、こんな短い文章考えるだけでお金もらえるの?」
「そうだよ!そういえばお前、
けっこう面白いこと言うから、やってみればぁー」
ぼくはすっかりその気になりました。
その気になると、いままで気にもしなかった
広告コピーが急に目に飛び込んできます。
「愛されて○姫殿??なにこれ、
オレの方が絶対にもっとかっこいいコピーが書けるよ」
なにも知らないまま、ヘンな自信だけ持って、
ぼくはさっそく
コピーライター養成講座に通いはじめたのでした。
なお、この角瓶のCMのコピーライターは長沢岳夫さんです。
この場を借りて大先輩に、心から感謝です。
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