リレーコラムについて

コピーライター裏口入門法

梶浦道成

いま、コピーライターをめざしている人は、
いったい何人くらいいるんだろう?
宣伝会議の養成講座はひとクラス何人いるの?
その中で、いったいどれだけの人が
念願のコピーライターになれるんでしょうね。

いまからかれこれ22年前。
ちょうどコピーライターが脚光を浴び始めた頃、
ぼくは養成講座に通っていたのですが・・・。
確か同期は150人×2クラス、
すごい盛況ぶりだったことを覚えています。

これだけライバルがいるんだったらこれはもう、
毎回先生が出す宿題のコピーは目立つしかない!
直感でそう思ったぼくは、とにかく誰も
思いつかないようなコピーを書きまくって提出しました。
そしたまらあ、それが先生たちの琴線に
触れたというかくすぐったのでしょうね。
いい確率で入賞し、
なんと養成講座卒業時には150人中ベスト3に入ってました。

ところがどっこい、
いよいよプロのコピーライターめざして就職活動だ!
と動いたとたん、ぼくは大きな壁にぶつかってしまったのです。
25歳・高卒・キャリア0。
1社・5社・11社・・・。
広告プロダクションの求人広告をたよりに面接に行っても、
帰ってくる言葉はいつもおんなじ。
「悪いね、うちは即戦力がほしくてね・・・」ばかり。
そうなんです、どこもど素人なんか雇ってくれなかったのです。

そこで僕が最後の手段と思いついたのは、”夜の就職活動”です。
真っ正面から門を叩いてだめだったら、
個人的にコピーライターさんと親しくなって
会社に入れてもらっちゃおう!と目論みました。
で、ぼくはさっそく勘をたよりに
広告業界の人が集まりそうな飲み屋を聞きつけ、
とある原宿のバーのバーテンダーになったのです。

そのお店でぼくは、いつもカウンターのこっち側に
自分が書いたコピーの作品集を用意しておきました。
そして、コピーライターのお客さんが来ると、
「あの〜、ぼくコピーライターになりたいんですが、
よろしかったらぼくの書いたコピーを
おつまみ代わりに見ていただけませんか・・・?」
と、アピールしまくっていたのです。

いやはや、人間、志あれば願いが通じるものなのですね。
バーテンダーになって半年目に、
「俺こんど独立するんだけど、キミ、俺のアシスタントになる?」
という人物が現れたのです。
もちろん僕は、即座に「よろしくお願いします!」と頭を下げました。
そして晴れてコピーライターになれたのです。

さて、この時代に
ぼくのようにラッキーな体験談は通用しないかもしれません。
でも、ほんとうにやる気さえあれば堂々と、
憧れのコピーライターの門を叩きまくってみてください。
誰だって3年間チカラいっぱい修行をすれば、
とりあえず一人前にはなれるのです。
そこから先は、努力と運と出合いしだいなんですね。

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