自分の言葉。
泉沢宗史
先日、生まれて初めて面接官なるものを体験したんだけど、
すごいのね、いまの人たちって。とにかく、彼らの「気」
みたいなものがすごい強く、バンバンぶつかってきて、圧
倒されっぱなしの休日出勤でありました。まあ、みんな、
よくしゃべること、しゃべること。天才テナーサックス奏
者ジョン・コルトレーンは一小節にいろんなコードトーン
を使うのでシート・オブ・サウンズと呼ばれたけれど、僕
にとって学生の話す内容は、シート・オブ・ワーズという
感じでした。
僕はしゃべるのがほんと下手で、実はプレも大の苦手であ
ります。プレでもよくしゃべる人、いるよねえ、あること
ないこと。なんであんなにしゃべれるのかなあ。この日の
学生たちも、たぶんこの30分で、僕のプレ10回分くらいを
しゃっべっているのではないかしらん。
でも、二人、三人と話して面接になれ始めた頃、あれ、み
んな同じ人だったのではないか、という錯覚にとらわれま
した。顔も、声も、態度も、性もちがうのだけれどなぜか
同じ人とあったような。社内の若いのに聞くと、彼らは質
問に対するパッケージをいくつも暗記していて、それ質問
に応じて組み合わせて、答えをつくるのだそうです。パッ
ケージのそれぞれは、たぶん模範解答みたいなものがあっ
て、それが同じだから、同じ人にあったような錯覚になる
のかもしれません。そういえば、パッケージの組み合わせ
を誤って、自分でも何を話しいるかわからなくなってパニ
ックになってた学生もいたなあ。
それでも、たったひとりだけ、自分の言葉だけで話す学生
がいて、ちゃんといろんなことを考えていることがよくわ
かった子がいました。質問に対して、ストレートな自分の
答えがあり、明快。使い慣れてない言葉もなく、この日の
人の中で一番をあげました。
最近、若い人のコピーを見ることがあるけれど、いかに自
分でいろんな角度からいろんなことを考えているか、でコ
ピーの力の差を感じるのです。考えてない人のは、ぜんぜ
ん自分のコピーになってない。世の中にいまだであったコ
ピーの詰め合わせになってしまっていて、つまんないもの
になってしまう。何をどう伝えたら人は見てくれるのか、
その企業のこと、商品のことをわかってくれるのか、をち
ゃんと考え抜いてから書かれたコピーには力があります。
ところが、考えてなくても、とりあえず、クライアントを
通すコピーは書けたりするんだよねえ。あ、最近、そんな
コピーばっか書いているような気がする自分に反省しつつ、
また明日。
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