ウインドの神様
そのロッジのオーナーを、我々ビギナーは親しみを込めて神様と呼ぶ。「ウインドサーフィンの神様」である。神様は威厳があるわけでもなく、いたって気さくで人のいい45歳である。頭髪も、体形も、話すことも、45歳のそれである。ロッジの修理やペンキ塗り、周囲の道路の掃除、焚き木集め、なんでも自分でやってしまう。頂点を極めたウインドサーファーの颯爽としたイメージとはちょいと違う。
その彼がひとたび海に出ると、あっという間にトップスピードに乗って遥か沖へと疾駆していく。あの速さについていける者は、鎌倉広しといえどもそういないらしい。そして、何事もなかったように夕日を背に受けて、材木座の浜に滑り込んでくる。
彼は、日本のウインドサーファーの草分的存在で、このスポーツを社会に認知させた一人と言っていい。高校時代にヨットからウインドサーフィンに転向した彼は、「どうせなら世界で一番盛んな場所へ」とアメリカはカリフォルニアに留学、さらにハワイで腕を磨くことになる。大会での戦績も輝かしいものがあるらしいが、そんな自慢話を神様の口から聞いたことはない。
今でも、ハワイ、グアム、御前崎、あちこちへ現役のサーファーとして、また指導者として飛び回っている。彼には大きな目標がひとつある。近い将来、オリンピックの正式種目にすることだ。どうやら、2008年の北京オリンピックをにらんでいるらしい。
2、3日前、また新しいエピソードを入手した。最年少市長として話題になった逗子市長、長島一由さんのニュースメールを読んだウインド仲間からの話である。逗子市長杯というウインドサーフィンの大会で優勝を狙っていた長島一由さん(その大会の年、彼が市長であったかどうかは定かでない)は、惜しくも2位に甘んじ、そのときの優勝者は三木英樹氏であったという内容だ。三木英樹氏、実は彼が、我々が親しみを込めて呼ぶ「ウインドの神様」なのである。神様は、そんな話もしない人である。
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