たそがれのバーベキュー
我々ウインドサーフィン仲間には、もうひとつの楽しみがある。夕方から始まるバーベキュー・パーティーだ。三々五々海から引き上げてくると、誰が言い出すわけでもなく流れるように仕度が始まる。このチームワークの良さは、見事なものだ。誰もがビールを早くグイツとやりたいばっかりに、手際がいい。
セイルやボードを洗う係、テーブルやイスを庭に出す係、奥さん達は買出しに出かけて小坪の港に揚がったいきのいい魚や地場の野菜などを仕入れてくる。そうこうしているうちに、いつもの酒屋からビールと焼酎が配達される。神様はといえば、彼は決まって火を熾しにかかる。どうやらウインドサーフィンの次くらいに日熾しが好きなようだ。僕は、神様の手伝いを率先してするようにしている。昔から火遊びと水遊びが好きだったからだけでなく、それにはひとつの魂胆があってのことだ。鉄板や網の上でいろんなものを焼くのだが、仲間においしいものを食べてもらうにはやはり味見を必要とする。そこが狙いだ。ビールを飲みながら、いちばん美味そうなところを食べてみる。アッチッチなんて言いながら、ハフハフする。そして「おいしいよ。熱いうちに食べて。さあ早く」なんて言いながら、アルミのプレートに焼き立てをどっさり盛ってテーブルに置くのだ。カルビの油の乗ったところ、牛タンの半焼けのところ、ソーセージのちょっと焦げたところ、烏賊の三角のところ、鯵の小ぶりなやつ、美味いのを少しずつビールで流し込むのだ。
話題なんて、なんでもいい。疲れた肉体をアルコールが駆け巡って、もうどうでもいい。いつしか、たそがれの海は漆黒の闇に飲み込まれていく。
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