リレーコラムについて

See you.

赤松隆一郎

友人が他界して、1年が過ぎました。
僕が20歳の時に出会ってから、12年間
時々クロスしながら、互いの人生を生きてきました。
お別れの日は、雲ひとつない青空でした。
葬儀の数日後、彼の恋人から
「もしよかったら使ってあげて」と
彼の愛用していた財布を手渡されました。
最初はもらうのをよそうと思いました。
彼と自分との付き合い方からして、なんとなく
らしくないような気がしたのと、形見などなくても
忘れるわけがないだろ、という思いがあったからです。
何より、彼女が持っているべきではないかと思いました。
結局その茶色くて2箇所ひっかき傷のある財布は
彼女の強い勧めもあり、僕のものになったのですが・・・。
1年を経た今、
あの時、彼女が彼の財布を持たせてくれたことに
僕はとても感謝しています。
財布って、毎日必ず一度は使うでしょう?
友人の事をそのたびに必ず思い出すのです。
なんていうか、ほど良い強さで。
時がたつにつれて、ただひたすらの悲しみが
少しずつ懐かしさと交じりあっていく。
もしこの財布がなければ、慌しい日々の中で
僕は彼のことをあまり思い出さないのではないか?
そんなことを考えると少し怖くなり、
過去に忘れていた事を思い出そうとしてみたりします。
誰かを傷つけたことが一番最初に思い出されます。
不思議と傷つけられたことは浮かんできません。
そんなことをぼんやり考えながら、
財布をポケットにしまいます。
明日早朝からその財布を持って日本を数日離れるので
少し早めにコラムを登録させてもらいます。

これで僕のリレーコラムはおしまいです。
来週は、電通西日本で最も働いているクリエーターの
清水清春さんです。忙しい中、快諾いただきました。
「オレは今回のコラムで、愛という不確かな
 感情のカタチを、カーリングというスポーツに
 たとえてドラマチックに書きたいんだ」
 と言ってたような、言ってないような・・・。
そんなわけで、
読んでくれたみなさん、ありがとうございました。
良い週末を。ピース。
                              赤松隆一郎

 

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