ある喫茶店にて
ある日のことです。コピーを考えに、喫茶店に足を運びました。レジの横でコーヒーを受け取り、いつもの席に座ろうとした時、横のそのまた横の席にカップルがいるのが分かりました。僕はそのまま席につき、コピーを考え始めたのですが、そのカップル、雰囲気が怪しいんですよね。楽しそうな空気がまったく感じられないんです。仲良く会話をしているわけでもない。「別れ話の途中の気まずい雰囲気なのかな」僕はそう思いながらコピーを考え続けました。でも、気になるじゃないですか。そんな修羅場に遭遇する機会なんてめったにないことですし。で、コピーを考えながらも、時々意識をそちらのカップルに向けるのですが(顔の向きはさすがにかえませんよ)、10分そして20分経過しても、何も進展はありません。僕の中に、別れ話を経験した際の苦い思い出が甦ります。「こんな空気の中じゃ、いいコピーもでないな」耐えきれなくなった僕は、店をかえることに決めました。そして席を立ちながらカップルの方を見ると…
2人は、手話ですごく楽しそうに話をしていました。
その時のショックは、大きかったです。コピーライターとして、アタマを柔らかくしておかなくてば、と常々思っていたので。「会話をしない」=「不幸なカップル」と決めつけていた自分が本当に恥ずかしかったです。はじめて、固定概念のコワサを知りました。
ある程度の信念というか自分の考えは、コピーを書くとき必要だと思うのですが、「固定概念に近い決めつけ」は、見えるものを見えなくするんですね。ここらへんのアタマの柔らかさ、視野の広さだったり、考え方の多様性が、これからもっとコピーを上手くなっていくために必要なのでは、と思っている今日この頃です(アタマのカタイ僕に、いろんな考え方を教えてくれる上司や営業さん、同僚、親しいヒトにはホント感謝しています)。
さて、来週は、養命酒の広告で今年新人賞を受賞された、養命酒製造株式会社広報部の岩田純平さんの登場です。毎回毎回同じネタ(養命酒)で広告を作り続けられている、スゴイ方です。
それでは皆さん、一週間お付き合い頂き、ありがとうございました。
吉田一馬
※広告研究所の松田さん。応募された5作品、教えていただきありがとうございました。
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