見る人を見る
サン・アド人
あれはなんという名前の職業なのだろう。
美術館のスミにじっと座って、お客の動向をチェックする人。
仮に「ギャラリー・ウォッチマン」と呼ぶことにする。
今日、その、「ギャラリー・ウォッチマン」になった。
というのは、いま「サン・アド人」という展覧会をやっていて、
今日私が、ギャラリーの「当番」だったからだ。
会期中、サン・アドの社員は日替わりで、
ギャラリーの当番をやることになっている。
この当番のおもな仕事は、お客様の質問に答えること。
そして、何か盗まれないように見張っていること。
(そういうお客様はいないと信じています!)
ほらこれって「ギャラリー・ウォッチマン」と同じでしょ。
私はかねてから、この仕事を選ぶ人の気が知れなかった。
ずっと座りっぱなしなんだよ。
他には何もやることないんだよ。
そんなの退屈に決まってるじゃないか。
が、実際に体験してみると、これがなかなか、おもしろい。
なにがって、
ギャラリーに来た人を見るのがおもしろいんだな。
風のようにやってきて、ものの5分で去っていった、
せわしないったらありゃしない初老の男性。
うちの社員が写っているモニターを指さし、
「あれ芸能人?」とおっしゃった熟年のご婦人。
6人のグループでわいわいやって来て、
「このポスター、超カワイクテ超ムカツク!」と、
何のこっちゃ的な発言を連発した大学生らしき女の子たち。
(でも、かわいかった)
館内の展示物と映像を、みっちり1時間以上もかけて
あますことなくご覧になった、スーパー律気な中年の男性。
「ギャラリー・ウォッチマン」には、
じつは、見る人を見るという楽しみがあるのだなあ。
みなさん、ご来場いただき、ありがとうございました。
最後に、(そんなに詳しくないけれど)
もしも私が「ギャラリー・ウォッチマン」になったら
ここに座りたいなトップ5。
●パリ・ルーブル美術館のミロのヴィーナスの真後ろ。
あの、でっぷりとしたお尻が好きだ。
●同じくルーブルのオランダ絵画「レンブラント」の部屋。
なぜかここだけ、空気がキーンとしている。
●パリ市立近代美術館のマティス「ダンス」の部屋。
絵がバカでかい。こっちまで大らかな気分になる。
●上野・国立博物館の中ならどこでも。
とにかく、建物そのものが素晴らしいんですよ。
●真鶴・中川一政美術館の安曇野の絵のある部屋。
ものすごい迫力。目の前に立つとくらくらする。
(李)
※あらためまして。
いま、銀座gggでサン・アド展を開いています。(10月4日〜30日)
テーマは「サン・アド人」。
私のようにじーっとウォッチする社員はそういませんので、
みなさん、安心してきてくださいね。
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