ワンジョブ・ワンノート制。
さて、昨日までは、「コピーを書く」というテーマで話してきたんですが、
今日は、コピーを考えるプロセスについて書いてみようかな。
えっとね、これも、私と仕事をしたことのある人は、
みなさん知ってるだろうことなんですけど、
私って、ノート命!なんですよ。
ノートがないと、コピーライターとして生きていけない。
といっても、べつに特殊なものでなく、中高生が使うような、
文具屋さんで売ってるB5サイズの横罫の普通のやつね。
表紙はそのときの気分で、ミッフィーちゃんだったり、
プーさんだったり、スヌーピーだったりしますね。
で、そこに、オリエンのメモから始まって、
そのあと思いつくすべてのコピーを書いていくんですね。
まあ、コピーライターの性格によるんでしょうけど、
自分の思考過程を記録に残す人と、残さない人といますよね。
思いつくコトバを、次々そのへんの紙に書き付けて、
気に入らなければ丸めてゴミ箱にぽい!みたいなのって、
豪快で男の子っぽくてかっこいいけどね。
でも、私は女の子なので、かっこよくなくていいんです。
ちまちま、ちまちま、ノートに書きためるのよ。
自分のコピー作法として、その方が向いてるんです。
基本的に新しい仕事が来るたびに、新しいノートを作ります。
これを当社では「ワンジョブ・ワンノート制」と呼びます。
なんていい制度でしょう!
これは、代理店や制作会社が「一業種一社制」を唱えるのにも似た、
いや、それ以上の美しい制度なのです。
なぜなら、そこには誓いがこめられているのです!
この仕事、どんな苦難があっても、私やりとげるわという誓いが。
その証に、私はまず、表紙にマジックで大きく、クライアント名と商品名を
入魂して書き込むという儀式をとりおこなうの。
もちろん姿勢を正してね。
なのにさあ、なのにさあ、なのにさあ、
こっちはそこまで、愛と気合い入れて、ノート作ってるのにさあ、
あっというまに、なんかヘンテコな案にプレゼン負けちゃったりする理不尽が、
まあこの世の中にはあるのね・・・・ノートも半分以上残ってるしぃ。
そうゆう場合は、やっぱもったいないから、
いや、森林を守りたいから、
次の仕事が来たら、またそのノートを使いますよ。
で、それもまたあっというまにボツッたときは、また次の仕事用にと。
ああ、崩れゆくワンジョブ・ワンノート制・・・・
まさに美しい制度とは、
こうして、きびしい現実に翻弄されて崩れてゆくのね。
ところで、こうなると最初にマジックで書いたクライアント名と商品名、
けっこう 困っちゃうんですよね。
もはや、ノートの中身は別のジョブ用になってるのに、
いつまでも表紙には、最初のやつがどっかと書かれている。
なーんか、昔の彼にもらった指輪をつけて、デートしてる感じ?
クライアントに行ったときは、表紙を見られないようにびくびくしちゃう。
でね、最近考えたんだけど、
もう最初にタイトル書くのをやめようと。
そう、夢を見なければ、傷つくこともないし。
ノートを無事に一冊使い終わった時点で、タイトルを入れることにしたの。
なんか、ちょっと悲しいけど、
競合プレゼンの多い昨今だから、まあしゃあないね。
(でも、心の中はいつだって、ワンジョブ・ワンノート制なんだけど。)
さて、明日も書いていいですか?(・Θ・)
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