リレーコラムについて

ファーストプレゼンに愛を込めて。

児島令子

今日は、プレゼンについて書きますね。(ゴメン、今日も長いよ。)

プレゼンといっても、最終的にクライアントにする正式なやつでなく、
打ち合わせの時に、自分の考えたコピーとかをお披露目する、
チーム内プレゼンのことね。

でもね、私はそれが、いちばん大切なプレゼンだと思うんですよね。
だからいつだって、いちばんドキドキします。
前夜まで、ひとりでちまちまノートに書き散らかしながら考えて、
いろいろ悩んだり迷ったりして、それでもえいやっと、
ひたすら自分を信じてコピーをチョイスする。
それが白日の下に晒されるときなのですから。

このコピー、いいねっ!って言ってくれるかなあ・・・
このコピーで、みんなのってくれるかなあ・・・・
小さな胸は、そんな不安ではりさけそうなんだけど、
そこはプロです!悟られてはなりませぬ!さりげな表情で座席につきます。
「今日はあったかいよね〜」とか言いつつ。

コピーライターによっては、いっぱい考えていっぱい見せる人もいますよね。
いろんな可能性をまず提示して、みんなで話し合いしやすくする人ですね。
えらいです。大人ですよね。代理店育ちの人に多いのかな。

私はというと、いっぱい考えても、見せるのは限られた数本なんです。
ケチなんです。利己的なんです。自分しか信じてないんです。
ずっと、フリーでやってきたから、そういう体質なんですね。
だからなおさら、プレゼンは恐い。
自分が、ずれてないかどうか試されるときだから。

さあ、いよいよファーストプレゼン。持ち寄ったアイデアの発表の場です。
代理店ジョブの場合、私の経験によると、
CDは、たいていまず身内の人に振りますよね。佐々木宏さんなんかもそう。
まず社内スタッフから当てられる。それもたいていキャリア順。紅白歌合戦みたい。
「おい、○○君、なんか考えた?」ってかんじでね。
あのね、みなさん、これがねえ、くせものなんですよ。

デザイナーのA君が「例えばなんですけど、こんな感じどうかなって・・・・」
と言いながら、「コピーはダミーなんですけど、こんな気分で・・・・」と、
サムネールとか出してきて、
そのコピーがけっこうその場で受けたりしたら、どーします?
あー、いやですよねー。いや、いや、なーんか、いやん。
でも、顔には出さず「あはは、おもしろいね」とか言ってる自分がいたりします。

あるいはプランナーのB君が、
「いままでと全く違う、こういう視点で考えたいんですよねー」と、
出してきた企画が、自分のと微妙にニアミスしてる視点だったりしたら、どーします?
微妙に似てるけど、違うのよ全然!でも微妙に似ちゃってるの。
あー、いやですよねー。いや、いや、なーんか、いやん。
でも、顔には出さず「うんうん、わかるよ」と言ってる自分がいたりします。

さてさて、いよいよ、CDは私に振ってきます。
「児島さん、なんかありますか?」
あるから、来てるんだよう、と思いつつも、
「はい、まだつめてないんですけど、こんなコピーでいけないかなあと・・・」
(↑本当は、もうこのまま、これでいきたいんです!!の意味。)

で、私はあつく心を込めてプレゼンをする。
・・・・・・じっとみんなの顔を見る。

CDは、大きくうなずいた。ADは、力強い握手を求めてきた。
そしてプランナーは、マーケは、営業は、スタンディングオベーション!
みんなの目に、光るものが浮かんでるのを、そのとき児島は見逃さなかった。

なーんて、プロジェクトXなことは、 まあないけど、
でも、みんながこのコピーいいねって、
言ってくれるだけで、ホント幸せになれるよね。

結局この仕事ずっとやってきて思うのは、そういうこと。
プレゼンに勝ったり、商品が売れたり、広告賞をとったり、
いろんな喜びがあるけれど、でも最初の喜びは、
最初にコトバを見せた人が、いいねって思ってくれること。
夜中までうんうんうなってやってるときって、
ただひたすら、あしたみんなどんな顔するかなって思ってやってるもんね。
それ以上でも以下でもない。
だから、ファーストプレゼンが、私は恐いけど好きなんです。
(今日はちょっと、かっこよすぎた?)

       ねえ、みんな、読んでくれてる〜?(・Θ・)

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