リレーコラムについて

寄付税制

眞木準

国会の赤絨毯を、生まれて初めて踏んだ。
なんとこれも生まれて初めて陳情に行ったのだ。
それも「寄付税制」というムツカシイ話である。

アメリカ合衆国では、年間30兆円ものお金が
寄付によってプールされ、文化、芸術、スポーツ、
ボランティアNPO、教育、医療等に有効に生かされている。
無税だからだ。
メトロポリタン・オペラには、毎年個人で30億円
ポンと出す人がいるそうである。
スゴイことではないだろうか。

ひるがえって日本では、例えば、一千万円
エイズ・チャリティに贈ったとする。するとそれに
別に600万円ほどの税金が課され、払わなければならない。
これじゃ、誰もやらないよね。
もちろん、そんな大金、出せる人さえ、そうはいないけれど。
いま日本では、約8団体のNPOが特税措置を受け、無税であるが
その決定裁量は、市町村の首長決裁だそうだ。
後で間違いのそしりを受けないよう、なかなか
決裁のリスクを負わないのではないだろうか。

コピーライターは、ビジネスマンであるから
日々の仕事に寄付なんぞ、あてにすることは毛頭できぬ話だが
一面で、TCCは文芸作家協会の保険に加入している。
たしか、梅本洋一氏が幹事をなさった時の
ご苦労の末だと記憶しているが、「文芸作家協会」である。
つまり、ビジネスマンではあるが、作家性の強い職業で
あることは確かなわけである。
アーチストだ、クリエイターだと言い切るのは
恥ずかしいが、プライドは少々、誰にでもあると思う。
たとえば、自分の表現を個展にでもしようという時に
援助などもらえたら表現の自由度というものを
上げる環境づくりにはなると思う。
個人的には、その程度の思いではあるが
何もない、暗い、うちひしがれた日本が、文化で立国する発想は
大わくで良いことだと思いませんか。

エンジン01文化戦略会議というサークルのメンバーとして
野村万之丞氏、加藤秀樹氏税制問題委員長の
金魚のフンとなってついて行ったのが実体であるが
例の赤絨毯は、思いの外、ペラペラでした。
会見約束をいただいた議員の皆様は、にこやかに話は聴いてくれた
けれど、とりあえずそれだけでした。

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