宗谷本線に乗って
小高い丘の上に、我が母校稚内高校があった。
晴れた日にはソビエト領サハリンが見え、
冬には海岸を埋めつくす流氷が一望できる。
一年生の冬のことだった。
(校舎へと続く坂道)
級友A:「今年、やけに流氷多いんでないか」
谷口 :「うんだ、だから海が苦しそうだよな」
(それを後方から聞いていた国語教師)
吉本先生:「谷口は詩人だなぁ」
さっそくその話は次の国語の授業でご披露された。
国語の吉本。帝大出身で本来なら中央で校長への
フルコースを歩んでいた人物だが、組合活動が
仇となり、稚内へと流刑された前科者でもあった。
その前科者はしかし人気者でもあった。
関西弁でいうと、めちゃおもろい先生やった。
その先生が名指しで「谷口は詩的だ」ときた、
おまけに「文学のセンスをもっている」だもの。
それまで「赤毛のアン」しか読んでいないアホが、
有頂天にならないはずはない。
文学→思い込み→目立ちたがり→コピーライター。
私の人生は、もうそこで決まったようなものだ。
あの言葉には「イメージと主体が抱き合わさっている。」
この先生の話しが、ずーと心に突き刺さっている。
糸井重里さんのJR東海の、あの「TRAING」。
京都、奈良、云々。ただの目的地賛美の広告から、
列車で行くという手段の価値までもがセットになって、
届いてくる。つまり「ああ、JRが置き去りにされていない。」
という、言葉の巧みさと深さがある。
イメージと主体の抱き合わせ。そのお手本だと思ってます。
それだけに、もっとうまく、関係者の方々が、
この「TRAING」を使いこなして欲しいと、
そう思うわけです。
今日は、この辺で。17日、午前9時15分、会社にて。
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