リレーコラムについて

サーフィンする

佐々木圭一

親友が会社をやめました。サーフボードのシェイパーになるんだと彼は言います。会社で書類にまみれ、パソコンと向き合って生きていくのをやめ、波のいいときに海に入り、そのほかの時間サーフボードをシェイプする人生を選んだのです。収入は比較にならないほど低くなったといいます。そのぶん時間とカラダを彼の好きなことに使えるようになりました。
サーファーというと、「悪そう」とか「だらしなそう」とかイメージがあると思いますが、スポーツとしてのサーフィンは想像する以上にストイックです。今の季節ですと、ウエットスーツを着ていても出ている顔と手は氷結しそう。波にのまれると、水深数メートルの海底に顔をこすりつけられたりします。そこから海底を蹴り必死になって水面まで出ると、また次の大きな波が目の前に迫ってきています。
ストイックなぶんだけ、波に乗った快感は大きいです。波に乗るには波が進むのと同じ速度になるまでパドルして加速します。身長ほどもある波に乗り、直角に近い波の斜面をタタミ一畳ほどのボードに乗って時速30キロを超えるスピードですべり落ちる。波の面に手を触れると白い筋が後ろに続いてゆく。サーフィンが他のスポーツに比べ特殊なのは、その「快感」じゃないかと思います。SEXに近いという人もいます。
サーファーは快感に素直です。それは仕事を含めた生き方全体において。気持ちいいと感じることはする。感じないことはしない。ある意味人間の本質に近い生き方かもしれません。だって、人間が生きてゆくうえで大切なことに、気持ちいいと脳が感じるよう人間はできているのだから。
私はコピーライターという仕事をしています。その仕事を気持ちいいと感じています。この感覚を大切にしていきたいと思っています。一度しかない人生で何かに時間とカラダを使うなら、自分が気持ちいいと感じることに使いたいじゃないですか。
先日親友に会いました。幸せそうな顔をしていました。

来週、リレーコラムのバトンは電通の高松聡さんに渡します。
宇宙でCM撮ったり、国立競技場のワールドカップ観戦を仕切ったり、コピーライティングだけじゃないぶっ飛んだことしている人ですので、一味違ったコラムになるんじゃないかなって楽しみにしています。高松さんよろしくお願いしますね。

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