あ!
渡邊哲也
もう最終回だ。
一週間ってあっという間。
洛星のはなし。
一回目で書いたように、僕は
京都の洛星という男子校で中高6年間を過ごしました。
ミッションスクール。
うちの父の実家は袈裟屋(知恩院御用達渡辺法衣店)だけど、
ミッションスクール。
まあ、同級生にはお寺の息子もいたので、モーマンタイ。
とにかく、田舎の小学生上がりには、
カルチャーショックの連続。
「そうやんけー」とか言ってる、ニキビ面のクリクリ坊主の同級生に、
いきなりセバスチャンという洗礼名がついたり
(後に彼は僕のバンドのヴォーカルになり、ステージネームに流用される)
入ったバスケットボール部の顧問が
ホモセクシャルな50代(日本人)で、夏に部員が一人ずつ家に呼ばれて
一緒にお風呂に入らされたり(ああおそろしい)、
宗教の時間(!)に、
神父さん(カナダ人)が顔を真っ赤にして涙ながらに
「若い頃わたしは一度女の人をお金で買ったことがあるのデース。」
(カソリックは女禁)という、
「そんなこと言われたって・・・」な告白が始まったり、
そばに女の子がいないせいで、うずうずした伸び盛りの成長欲が行き場を求め、
中学生にしてどどーんと(新興)宗教に傾倒したり、音楽にはまったり、という
ヘンな感じの日々で結構面白かったのでした。
時間だけはたっぷりあったので色んなコトをひととおり考えました。
きっと、その時期林さんもモンモンと一人で面白いことを考えていたに違いない。
高史さんは、平安女学院の生徒と遊んで(いる夢を見て)たかもしれない。
モテなかったもんなーうちの学校。モテました?
そんな学校の用務員さんは、
ベルナルドさんという禿げ上がった小さなフランス人でした。
ブラザーとよばれる下働きをこなすひと。神父さんはファーザー。
いつもニコニコしてきちゃない作業服でトイレ掃除なんかやってるさえない印象。
ところがあるクリスマスのミサの時、厳かに神父たちの儀式が終わると、
ぱっとスポットライトが後ろに!ふりかえると光の中スバラシイ美声で朗々と
賛美歌を歌い上げているのはなんとベルナルドさんだったのでした。その場のスター。
「やるジャン!ベルナルド!」(そのころは「やるやんけ」)って感じ。
6年間いろんな先生や神父さんがいたけど、なんか思い出す一瞬はその風景です。
そのギャップたるや、インパクトあったなあ。
その一瞬だけで、生涯忘れられない記憶のひとになっちゃってます。僕の中で。
映画が音楽が、ベルナルドがそうであるように、
誰かの心のひだにずっと刻み込まれる一瞬を、
自分の作る広告から生み出せたらなあ、もう無上のしあわせですね。
まったくまとまりもなく読み返す余裕もなく、駄文を毎回長々と失礼しました。
次週は、たのもしい後輩桜木君がきっと面白いコラムを書いてくれると思います。
(文章上手ホント)
では。どこかでお会いしたらこえかけてください。
さようなら。
電通 1CD局 渡辺哲也
tet.watanabe@dentsu.co.jp
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