リレーコラムについて

タイガース1973 その2

原尚樹

すみません。バタバタしていて1日空いてしまいました。
で、一昨日の続きです。
73年シーズン夏、劇的な勝負弱さを見せつけた阪神タイガースですが、その後もドラマは続きます。まずは秋に入っての巨人戦(なぜか相手はたいてい巨人なのよね)。阪神は序盤で7-0と大量リードを奪います。しかも、巨人で一番勝負強い長島が守備のときにサードゴロを弾いて負傷退場。ここまでくれば、これは勝った!と思うのが人情というもの。でもそのまますんなりと行かないのがタイガース。結局追いつかれて9-9の引き分けとなったのでした。今年のあの引き分けのような出来事が30年前にもあったわけです。
それでもこの年、巨人のモタツキもあって、残り2試合という時点で、阪神にマジック1が点灯。このゲームに勝てば優勝というところまでタイガースはこぎつけました。相手は中日。そして、このシーズン対中日7勝0敗と圧倒的な相性の良さを誇る上田二朗投手という絶対的切り札をタイガースは持っていたのでした。なのに、なのにですよ、阪神金田正泰監督は上田ではなく、江夏を先発で起用、この試合を落としてしまいます。なぜ上田ではなく江夏だったのか?その理由がまたアホくさく、シーズン中に江夏にソッポを向かれていた金田監督が彼を懐柔するべく胴上げ投手に指名したというのが真相でした。
今でも忘れられないのは、この中日戦の終盤、タイガースの敗色濃いナゴヤ球場の傍らを甲子園に向かう巨人ナインを乗せた新幹線が通過したことです。ああ、何て出来すぎたシチュエーション!その模様を野球中継のテレビカメラがアップで捉えるのを見たとき、私は翌日の巨人戦(シーズン最終戦)に阪神が敗れ、優勝を逸するのを確信したのでした。

阪神の勝負弱さと巨人の勝負強さ。これを物心ついてから40有余年見せられ続けてきた私ですが、それでもなお、こう思わずにはいられません。何せ懲りない性質なので。「今に見てろよ巨人!今年こそ勝ってやるぜ!」

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