リレーコラムについて

5年たった関西

伊藤健志

名古屋で生まれ、東京に出て、その後大阪に赴任し、震災も経験した伊藤です。まあ日本三大(?)都市を経験したわけです。
住んだのは、神戸岡本。それはホントに楽しい5年間でした。海もある、山もある、大阪も神戸も京都もある。おいしいパン屋がたくさんある。バーベキューができる川もいっぱいある。所謂舶来物も文化も、程よく入ってくる。海外にも行きやすい。すべてがコンパクトに密集したとても快適な環境なわけで、ウチの妻などは5年経った今も、疲れると神戸に帰りたいという始末。ボクと同じ名古屋生まれなのに。
震災を経験したのも大きい。ケガもなく、致命的な被害も受けなかったから言えるのかもしれないが、一瞬のうちに崩れた街の風景が再び立ち上がっていった様子はとても感慨深いし、その際の人々の異様とも言える団結、エネルギーに触れたことは、今でも胸を熱くする。実はボクは、その日東京でロケをしていたので、実際には揺れを知らない。2日後にやっと帰阪し、一人待つ妻を迎えに行った。崩れた街を、被災地を離れて行く大勢の人とは反対の方向に、西宮北口から岡本に向かって歩いた。その光景は、教科書に載っている戦時下の日本のようで、タイムスリップしたような錯覚を覚えた。その経験、記憶は、何物にも代え難い。
とまあ、ちょっとしめっぽくなりましたが、ボクが関西で得た一番大きな物は、関西弁。地元の人たちが聞くとちょっとおかしいエセ関西弁ではあるが、これがけっこう役に立つ。東京に戻ってきて5年になるが、今でもかなりの頻度で口に出る。名古屋弁はほとんど出ないのに。「ほんま、かないまへんわ」と言えば、何となく場が和むし、「どアホ、ええかげんにせい」と言えば、ちょっとビビッてくれる。つまり関西弁は、喜怒哀楽の機微に溢れているということだろうか。
またまたとりとめもない話となりましたが、堪忍してください。明日の最終回のテーマは、まだ決めてません。

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