いつか黒いシェパードと。

空前のペットブームとか。
チワワにミニュチュアダックス、トイプードルと
犬にも流行があり、かつて一世を風靡した大型犬の
ゴールデンレトリバーやシベリアンハスキーの姿を
街であまり見かけなくなった。大きい犬の寿命は
10年ちょっとだから、一昔前ブームになった犬たちは
命をまっとうする頃なのか。幸せな一生ならいいのだが。
20代の終わりの頃、家で飼っていた最後の犬が死んで以来
犬のいない生活だ。両親がもう次の犬を10年以上飼うことは
無理だと判断したからだ。かくて、生まれたときから
犬がいた私の暮らしにピリオドがうたれた。
一人暮らしの不規則な生活では、なかなか犬は飼えない。
それに、ペット禁止の小さなマンションに引っ越すかも知れない。
旅行や、入院や、不慮の事態が生じたとき
飼い犬はどうなるのか。と心配すればきりがない。
数年前の年末年始、私が名付け親でもある妹の家の
ミニチュアダックスを預かることとなった。
しつけの行き届かないその犬を、1週間かけて
基本的なしつけにはじまり、かなりのレベルまで
犬らしく仕込んだ。が、迎えにきた妹を見たとたん
ちぎれるようにシッポをふり、みごとシンデレラの如く
駄犬にもどり帰っていった。私はつくづく思い知った。
「所詮は、他人の犬ね。」主人にならなければ、だめなのだ。
飼うのなら、ほんとうはシェパードがいい。
庭があって、散歩に連れて行く体力と
しつけをする忍耐力と根気、そして普通の家族を
私が持っていれば、ぜったいにオスのシェパードを飼う。
コピーライターのみなさま、広告にシェパード起用しないでね。
だって、広告で人気が出てブームになって、
「うちのワンちゃん」なんて臆面もなく連呼する独身女優や
それを真似する、女たちの餌食になってほしくないから。
よく、犬に癒されるっていいますが、それは犬にとっては
決して幸せなことではないと、動物学者もいっていました。
犬は主人の役に立ち、ほめられることが喜びなんだそうです。
ウッ、なんて健気なんでしょう。
シェパードを子犬から仕込んで、共に暮らす。
それが、私のここ20年来の変わらぬ夢でもあります。
どなたかシェパードを飼っている人、いらしゃいますか。