帰り道の犬
安路篤
横道くんから依頼を受けた、安路です。
こうやって長い文章を書くことはあまりないので、よく考えた結果、
ちょっと昔の動物のはなしをします。
私は、最近わかってきたのですが、いたいけなものが大好きです。
映画でも趣味でも人でも。未来に不幸なにおいがちょっとする可愛いものが
大好きです。
そんな私に、会社帰り、駅からの夜道で起こった小さな出来事をはなします。
うしろから小さな足音が聞こえてくるので、振り返ってみると、そこには
雑種っぽい、まさにイタイケな犬がいました。何回曲がっても、ついてくるので、
段々に情がわき、その犬とコミュニケーションをとろうとしました。
じっと見ていると、相手もじっと見返す時間がつづきました。もう、たまらん!!
可愛らしさでした。貧乏くさい表情も、大きさも、たまらんカンジです。
早く家に帰って、チーズをクッキーをあげようと早歩きになっていました。
その犬も同じように早歩きでついてきました。家について、超ダッシュで冷蔵庫から
いろんな食べ物を出して、家の外にでました。そこにはちゃんと、犬が待っていました。
でも、その犬は、食べ物に全く反応しません。それどころか、僕を見下げるような目で
たべものを無視したのです。やろうとすればするほど、犬は遠くに離れていきます。
そして、ついに、犬はどっかに行ってしまいました。
「僕は食べ物なんか欲しくない、遊びたかっただけ!」きっと犬はそう思っていたのでは
ないでしょうか。犬の心を踏みにじったような気がしました。
かわいい→餌をやればなつく!と簡単に思ってしまう、自己中心的な
自分がまた見えて、少しイヤになりました。最近は、駅の近くで見る、ひどくデブの鳩が
気になるのですが、その鳩も何を考えているのかわからないので、
あまり関係しないようにしています。
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