リレーコラムについて

Eureka

藤田卓也

6年間で最大の変化といえば、やはり転職だと思う。

広告からITへ。クライアントビジネスから事業会社へ。

そしてなにより、コピーライターだった軸足が、マーケターに移り始めた。

 

広告のスキルは、広告以外にも役立つ。

この10年で広告会社の領域が拡張するにつれ、耳にタコができるほど聞いた気がする。

が、その難しさに鼻を折られる毎日だ。

 

まず最初に戸惑ったのは、オリエンがないこと。

バカみたいな話だが、割とキツかった。

誰かが課題、背景、ゴール、予算をまとめてくれることは絶対にない。

事業は生き物のように変化をしているが、アスリートに近いと思う。

目を見張るようなパフォーマンスの裏で、選手生命を脅かすような怪我のリスクも育っていたりする。

今何が起きているのかを冷静に捉え、未来に向けて動く。

そのヒントになるデータは、もちろんたくさんある。

けれど、数字はあまりに膨大で、欲しい数字はあまりに少ない。

アナリストや社外の力も借りて、課題をあぶり出す。

シンプルなようで難しい。全力疾走しているランナーを診察するようなものだからだ。

 

優先度を決めていく、量とスピードも凄まじい。

どんな事業にも課題はあるが、使える資源は有限だ。

時間は限られているし、予算には上限があるし、競合はそんなの待っちゃくれない。

ユーザーからすれば全て関係ないことだ。

やらなければならないことと、やった方がいいこと。

やりたいことと、やれること。そしてやってみるまで結果が分からないこと。

線引きなんてものは存在しないが、自分たちで線を引かないと何も始まらない。

やる、と決めたのならスケジュールも費用もアサインも、アレンジするのは営業ではなく自分たちだ。

いかに自分が、CD、営業、そしてクライアントの素晴らしい意思決定に依存してきたか痛感した。

どんな小さなことでもいい。チームで下っ端プランナーだったとしても、

「次までに考えてくるのはこの方向にしませんか」と決断経験を積んでおくべきだった。

 

そして、事業理解度。

僭越ながら提案をいただく側になり、そして多種多様な企業のマーケターと関わるようになり、

広告のスキルを輝かせるいちばんの土台はここなんじゃないかと思い至るようになった。

若手の頃からいろんな業界業種に関わらせていただくことは多かった。

初めての業界であっても勘所を割と早く掴む、というのは自分の長所かと思っていた。

でも全然ダメだった。

オリエンで要望されるKPIがあったとする。

例えば「若年層の認知率」とか「新規ユーザーのトライアル数」とか、「半年間で10万本」とか。

この数字に辿り着くまでのKPIツリーを、書き出せるかどうか。

そしてどこに強みがあり、どこに弱みがあり、どの優先度が高いのか。

大谷翔平は9マスのマンダラで夢を分解していたが、あんな感じをイメージしてもらってもいい。

そしてそれらの数字は、今どれくらいで、どう変化していて、その原因はなんなのか。

事業理解度がいいアイデアを連れてくることはない。

けれど、深ければ深いほど、たどり着いたアイデアは威力を増すと思う。

事業のことは数字で語れるようになり、ユーザー体験は物語で語れるようになる。

クライアント側を経験した自分が、コピーライターにアドバイスできるとしたらここだ。

 

コピーライターを何に喩えるか。

料理人、大工、職人、コンサルタント、作曲家、パートナー、経営者の右腕、そして医者。

いろんな喩えを聞いたことある気がする。

今自分がいちばんしっくりくるのは、Dr.コトーです。

患者が向こうからやってくることはない。できることは限られる。時間もない。でもピンチ。

そんな状況でも、課題を打破するアイデアを、誰かの力ではなく自ら実現する。

そういうパワフルさが、とても大事なんだと思う。

 

やめるべきか迷っている人がいたら伝えたい。

はみだしてみるのも面白いですよ。

 

 

来週は電通の福岡万里子さんです。

彼女と、茂庭と、そして私の3人は、電通のサマーインターンで3年間も講師をやっていた仲です。

この3人のうち、私以外はみんな船舶免許を持っています。どういうスキルアップしてるんだ。

また今度、海釣り行きましょう。

NO
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