嬉野
そんな父と私が生まれた故郷の話。
佐賀県は嬉野市生まれ。
お茶と温泉と、広告の街である。
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お茶。
嬉野茶の歴史は古く、1440年まで遡る。
盆地特有の寒暖差で栽培されたお茶は程よい苦味があって美味しい。
緑茶といえば、急須で入れた温かいお茶をイメージするかもしれないが、
冷たい緑茶もオススメだ。水出し緑茶ではなく、氷出し緑茶とも言うらしい。
作り方はシンプルで、冷水ポットに茶葉をそのまま入れ、氷を詰めて水を入れる。
そのポットを振るだけ出来上がる冷たい氷出し緑茶は、喉が喜ぶ。
そう言えば、うちも小規模ながらお茶を作っていた関係で
ゴールデンウィークとは無縁だったことを思い出す。
「夏も近づく八十八夜~♪」という茶摘み歌の歌詞にあるとおり、
5月初旬は茶摘みのシーズンなのだ。この時期の新茶は本当に美味しい。
温泉。
嬉野茶と並んで有名なのが、温泉だ。
嬉野の温泉はナトリウムを多く含む重曹泉で、かなりヌメりがある。
島根県の斐乃上温泉、栃木県の喜連川温泉と並んで
『日本三大美肌の湯』と呼ばれるほど、
スベスベのお肌になれるので女性には特にオススメしたい。
そして、温泉とあわせて堪能したいのが、絶品の湯豆腐だ。
温泉水で豆腐が溶け、とろとろになるその料理は、煮汁が真っ白になる。
醤油やごまだれ、ポン酢をかけて食べるのもいいが、そのままでも全然いける。
薬味すらいらないかもしれない。
毛細血管までとろけた豆腐が染み渡る感覚を是非とも味わっていただきたい。
広告。
嬉野を知る人から考えると疑問しかないと思うが、
嬉野は広告の街とも言えるかもしれない。
なんせ、あのTUGBOAT代表であったクリエイティブディレクター
岡康道さんが生まれた場所なのだ。
Wikipediaには佐賀県川副町生まれとあるが、
嬉野市制10周年記念のときに講演されていたし、
宣伝会議さんも“嬉野市出身”と記載しているから間違いではないだろう。
岡さんの説明はここでは不要だろう。
お会いしたことはないが、同郷として岡さんの背中を追っている。
遠すぎる。
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むかし、どこかの偉い人が温泉に浸かって「うれし〜の〜」と言ったことが、
街の名称になったという逸話がある嬉野。
さすが広告の街である。