リレーコラムについて

Vaundyと岩崎宏美

鶴田茂高

5年前にあるフリーペーパーの編集をしていた時に「懐かしいような新しい音。−大人も聴けるイマドキの音楽」という特集を企画しました。その時はPAELLAS、Scarf & The SuspenderS、東郷清丸、Rei、カジヒデキ、ミツメ、MOTHBALLというラインナップで、流行していたシティポップや次代のロックの流れにある比較的新しいアーティストを紹介しましたが、その時それぞれのステージの取材に出かけて、すっかりライブハウス級のパフォーマンスに魅了され、関係者枠ではなくちゃんとチケットを購入して観賞するようになりました(20代〜30代前半の頃は、洋楽のライブにはよく出かけてはいましたが)。以降、多い年には年間50本くらい、ほぼ毎週誰かのパフォーマンスを見ていました。

そんなライブ好きには、やっぱりコロナ禍は最大の不幸でした。2020年は緊急事態宣言前に3件、11月12月に2件のたった5件しか観賞できませんでした。今年も延期や中止になったライブも少なくはなかったですが、以下のライブには出かけました。

3月21日(日)崎山蒼志(LIQUIDROOM)
4月10日(土)DOVETAIL(STUDIO COAST)MELRAW / SIRUP / tempalay / TENDRE / 向井太一
4月17日(土)cero / 折坂悠太(WWW X)
5月22日(土)GREENROOM FESTIVAL21(横浜赤レンガ倉庫)Nulbarich / Chara / 平井 大 / never young beach / SIRUP / SPECIAL OTHERS / TENDRE / LUCKY TAPES / NakamuraEmi / TRI4TH / MURO / DJ KRO (Chilly Source) / 矢部ユウナ
5月23日(日)GREENROOM FESTIVAL21(横浜赤レンガ倉庫)ASIAN KUNG-FU GENERATION / Dragon Ash / 中納良恵 / ORIGINAL LOVE / RHYMESTER / clammbon / PUFFY / KANDYTOWN / Vaundy / GLIM SPANKY / DJ HASEBE / MASATO & Minnesotah (KANDYTOWN) / YonYon
6月05日(土)向井太一(Zepp DiverCity Tokyo)
6月13日(日)Nulbarich(東京ガーデンシアター)
6月27日(日)MONONKVL(ビルボードライブ横浜)
7月03日(土)Rin音(Zepp Tokyo)
9月03日(金)クボタカイ(Zepp Tokyo)
12月4日(土)LUCKY TAPES(ビルボードライブ東京)
12月6日(月)岩崎宏美 / 野口五郎(オーチャードホール)

9月のLocal Green Festivalは残念ながら中止になってしまいましたが、フェスを3日、ジョイントを2件、ソロライブを7件、合計12件の素晴らしい好演を堪能しました。

 

特に出色だったのが5月23日GREENROOMでのVaundy。2019年、Youtubeへの楽曲投稿がきっかけで、SNSで人気が爆発。ジャンルレスな楽曲制作からデザイン・映像までセルフプロデュースという弱冠21歳の美大生はまさにマルチな才能を遺憾なく発揮しています。

代表曲「東京フラッシュ」に関して「レコメンドの曲を分析してると、コード進行がだいたい似てるんですよね。今の流行りはこういうサウンドなんだと感じて、試しに作ってみようと思って作った曲でもあります」
というコメントが示すように、どうすれば売れるか(人の気を引くか)をしっかりと研究して、楽曲を作るプロフェッショナルでもあることに敬意を払いたくもなります。本当に彼は「ツボ」を押さえている、と感心します。
フェスということもあり、約40分のショートバージョンでしたが「東京フラッシュ」「灯火」「不可幸力」「しわあわせ」「怪獣の花唄」など彼の魅力を詰め込んだ華やかで勢いのあるステージでした。
今一番チケットの取れないアーティストとして、その勇姿を目と耳に刻み込めたことは非常に幸運な体験でした。

ちなみに6月のNulbarichのステージにもVaundyはゲスト出演。コラボ曲「ASH」1曲だけでしたがナルバを食っちゃうようなヤバいパフォーマンスでした。

そして僕のライブ体験としては異色なのが、先日体験したばかりの岩崎宏美と野口五郎のジョイント公演。
実は岩崎宏美さんは先輩なんです。僕は大学からですが成城大学に通い、宏美さんは幼稚園から高校の途中まで成城学園。決して重なってはいませんが、あるSNSでそのことを告げると「いつかお会いしたいですね」と返事までいただいて。一方で僕の友人のADと敬愛するカメラマンが彼女のアートワークを担当していて。なんだかとても近しいイメージを抱いていて。そしたら別の友人から「岩崎宏美、見に行かない」と誘われて渡りに船な状態で参加しました。
結果的には素晴らしいライブでした。「ロマンス」「シンデレラハネムーン」「すみれ色の涙」「思秋期」「聖母たちのララバイ」といった大ヒット曲を、ほぼ現キーのまま、加齢など感じさせない唯一無二のクリスタルヴォイスがオーチャードホールの天井まで響き渡りました(もちろん野口五郎さんも、「私鉄沿線」をはじめ名曲のオンパレード)。とにかく昭和の歌謡曲育ちには涙ものの感動でカラオケに行きたくなりました。

 

2022年は、もっとたくさんのライブに出かけられるように切なく祈っています。
ちなみに今一番行きたいのは、WurtS(ワーツ)とPEOPLE1。この2組もVaundy同様、チケット入手困難な注目のアーティストになっていくと思います。

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