リレーコラムについて

【2023定点観測②】弊社に山田がやってきたヤァ!ヤァ!ヤァ!

和久田昌裕

スペースデブリの除去を目指す女子高生3人組と和久田、そしてチャッピー。

まずはスペースデブリについての勉強をしなければと、色々と調べると地元福岡にあり僕の母校でもある九州大学に、人工衛星の大家である先生がいるらしいとの情報。「女子高生がデブリの除去をしたいと言っている」と電話で言っても「???」という困惑のリアクションがスマホ越しに伝わったので、半ば強引にアポを取り福岡の西のはずれ、糸島にある九州大学のキャンパスをみんなで訪問。突然押しかけたにも関わらず、快くスペースデブリについてのプチ講義を受けることができた。ありがとうございました花田先生。

それから複数回の訪問やメールなどのやり取りで得られた情報は以下の通り。

・スペースデブリは小さなものまで含めると1億個以上(!)

・秒速7km以上(物理で習った第1宇宙速度ってやつ)で飛んでいるため基本的に吸着は不可能(彼女たちは元々宇宙に粘着シートもしくは磁石みたいなものを打ち上げて吸着させるつもりだった)で、その軌道を変えるもしくは速度を落とすことで地球の引力に引かれ大気圏へ落下→燃え尽きる、という方法が現実的。

・コストは、ロケットを打ち上げるだけでも数億円〜数十億(!!!・・・って驚いてるふりしてるけど、なんとなくそのくらいかかると思ってた)

それ以上に問題なのは、スペースデブリの確実な除去技術は「現時点で確立されていない」ということ。もちろん、各国の宇宙機関や民間企業が問題意識を持っていて様々な取り組みがなされており、今年から本格的に動き出すプロジェクトが控えている2024年を『宇宙元年』と呼ぶ声もあるほど(もっともここ数年は、毎年誰かが宇宙元年と言っているらしいが)。今の我々には現実的ではないが、将来性はある。

そう、僕と違ってこの子たちは将来性の塊なのだ。中年盛り真っ只中の和久田は前澤さんくらい稼がないと宇宙に行けそうにもないが、17歳の彼女たちはもしかしたら現実的に宇宙へ行ける世代なのかもしれない。ニューヨークへ行くくらいの感覚で。

その時、頭の中でワンピースのテーマソング(ウィーアー)が流れた。確かルフィが海に出たのも17歳ではなかったか。そういえば九大の花田先生が言っていた。「スペースデブリの除去を目的とした仮想通貨の研究も進んでいる」と。デブリを海賊と見立てて、賞金首にするのはどうだろう。有名なデブリのプロフィールを海賊風にまとめて紹介し、それを除去した人(企業)に報奨金が支払われる。その報奨金は活動に共感してくれる一般の人たちや企業から基金としてプール。その仕組みを女子高生たちと一緒に作れば世界観も含めて独特で面白いものができるに違いない。さぁ、チャッピー、出番だ。

実は、毎回4人でブレストする際には、チャッピーに都度議論の進捗を入力していた。また、九大の花田先生から聞いた内容や英語で書かれた論文もあらかじめ読み込ませていたので、5人目のメンバーにして超優秀な秘書、それがチャッピー。早速チャッピーにプロンプトを与える。

「スペースデブリを宇宙の海賊と見立てて、その除去を目指すエコシステム」「その概要をまとめて」

提供CMの時間(=30秒)くらいで出てきた内容が以下の通り。

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理解しました。プロジェクトの内容をまとめます:

プロジェクトテーマ: “宇宙の海賊:スペースデブリの除去冒険”

内容の要約: このプロジェクトは、宇宙を広大な海と見立て、スペースデブリを宇宙の海賊の賞金首とするエンタメ性豊かなウェブサービスを提供します。以下は、プロジェクトの内容の要約です:

  • テーマ設定: 宇宙を広大な海とし、宇宙の海賊たちが賞金首を探す冒険をテーマにします。
  • 賞金首とランキング: 各スペースデブリに対する賞金を設定し、ランキングを作成してプレイヤーを魅了します。
  • ウェブサービス: ウェブブラウザを通じてアクセスでき、さまざまなデバイスとプラットフォームで利用可能なウェブサービスです。
  • グラフィックとデザイン: 宇宙の海賊テーマに合った魅力的なグラフィックとデザインを提供します。
  • イベントと報酬: 定期的なイベントや報酬を設定し、プレイヤーの参加を促進します。スペースデブリ除去に貢献したプレイヤーには特別な報酬を提供します。
  • 教育と啓発: ゲーム内で宇宙デブリの問題について教育的な情報を提供し、プレイヤーに意識を高める機会を提供します。

このウェブサービスは、エンターテインメントを通じてスペースデブリ問題に関心を高め、宇宙環境の保護に寄与することを目指しています。

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おおお、なんか楽しそう!早速この内容をチームで共有しているグループLINEに送り、再度集まってブレスト。基本的にこの方向で進めましょう!と太宰府のファミレスで盛り上がっていると、一人の子が少し浮かない顔。こういう時は全員が納得の上で進めないと、手遅れになるのは普段の仕事で散々味わっている。思うところがあったらおじさんに話してごらん。すると、彼女から衝撃の一言。

「デブリがかわいそう」

・・・!脳天をぶん殴られた気がした。ナウシカか。

しかし、彼女の話を聞いてみると本当にごもっともで、人間の都合で作られて、人間の都合で投棄されて、真っ暗で無音の宇宙を秒速7kmで孤独に飛んでいる存在、それがスペースデブリ。そのデブリを「宇宙ゴミ」と呼んで蔑み除去の対象にし、剰え(あまつさえ)賞金首にまでしてしまうのは、人間の驕りなのではないか。

前回書いた「変数」とはまさにこの「デブリはかわいそうな存在なのではないか?」という気づき(ようやく結論が書けた)。その気持ちはAIにはおそらく作れないし、職業柄、仕組みを作ること、それを面白くすることばかり考えてしまう僕にもなかった女子高生ならではの視点。この視点を再度チャッピーにインプットすることで、企画の軌道修正を行い、新たなコンセプトにたどり着くことができた訳であるが、それは来月公開されるプロジェクトにて。

ところで、このプロジェクトには途中から新たなクルーが加わった。2023年10月から、福岡の競合代理店からの転職。前職時代には何度も同じ案件で直接対決をし、何度も苦汁を飲まされ『和久田キラー』の名をほしいままにしていた男。それが山田大輝である。

タイトルにしていたのに、山田登場までが長くなりすぎた(そんな予感はもちろんしてた)ので、紹介は明日へ譲る。

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