いつでもご飯は私を幸せにする
このメモを、なぜ残したのかは覚えていない。
お腹が空いて、大人気なくちょっと不機嫌になって、
ついに美味しいものにありつける道中でメモしたのかもしれない。
「『朝ごはんを抜くと人生の幸せが1/3減る』って言われたこと、時々思い出します。」
と、ある日大学の後輩に言われた。
恥ずかしい。すっかり忘れていたが、
研究室で一生懸命に課題をこなす後輩に
まったく関係のない言葉を偉そうに伝えていた自分。
「三食食べることは幸せ、だから一食抜くのは幸せが減るのと同じ」
と信じて、大学の研究室で朝から米を炊き、
みんなで朝ごはんを食べていたころの会話だったと思う。
その後輩、そのくだらない言葉をしっかり受け留め、
幸せを減らさぬべく、忙しい時でも朝ごはんはきちんと食べているらしい。
私の周りには、
食べることが好きでどうしようもない人たちがたくさんいる。
集まればどこのお店が美味しかったとか、このおつまみが最高だとか
適当に酒の肴をつくっては、自分たちのことを天才と呼んでしまうような愉快な仲間がいたりして、
そのおかげで私の食に対する想いはさらに強まった
(強まってしまった)(強めてくれた、のか)。
もちろん、おいしいものを食べる幸せもあるけれど、
食べたいものを決めたり、
いっしょに買い物に行くところまで楽しい。
リモートワークになって、何が一番いいかと聞かれれば、
毎回、「食事がちゃんとできることです」と答える。
それは、ただ好きなものを好きな時間に食べられる、ということだけではなくて
スーパーに行って旬のものを選んだり、
新しいレシピに挑戦したり、
ゆっくり食べる時間が増えたとか
そういう、食について考える時間が増えたということだ。
外に食べに行く機会はだいぶ減ってしまったけど、
仲のいい人たちと、家で特に特別でもない食事をゆっくり楽しむことの楽しみは
この時期だから得られたとつくづく思う。
とはいっても、みちみちに人が詰まった煙くさいお店とか、
うるさくて声をはらないとオーダーできないようなところで
思いっきり飲んだり食べたりすることも、やっぱりそろそろ恋しい。
結論、食を想うだけで幸せを感じられる
単純な人間で本当によかったと想う。
冒頭で述べた、私のくだらない言葉を覚えてくれている後輩は
今年、会社の後輩になった。
食いしん坊仲間だし、近所に住んでいるのでよくランチをするのだが
この間、約束の数日前に「何食べたい?」と聞いたら
「当日食べたいものにお腹のフィーリングを合わせていきましょう」
と、プロみたいな言葉が返ってきた。
すごい、私も到達できていないレベル。
自分のお腹を司ることができるのか。
研究室でほかほかのごはんを食べていたあの頃から数年経って、
今度は、私が彼女からすごいことを教えてもらった。
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