はらぺこあおむしの悲しい結末
子どもも動物。
自然から学ぶようにプログラムされているのでしょう。
その好奇心はすばらしく、ダンゴムシを持ってくるのは本当です。
黒いまる虫を凝視して、足の数、歩き方、丸まり方、
理屈ではわからなくとも何らかの法則を感知して
世の中を理解するための知能を獲得している…のではないでしょうか。
都会でも昆虫はみつかります。
夏の夜、日比谷公園では
セミの幼虫が足の踏み場に困るくらいの数で大行進をしておりました。
幼少期、福島の山の中でセミの幼虫が歩いているところを見たことはありません。
自然が豊かなところでは草木に紛れて見つけにくいのかもしれません。
でも、都会では近所の公園でも比較的容易に見つけることができます。
外に出ている幼虫はその夜のうちに成虫になるので、
自宅に連れ帰れば成虫になる様子が観察できます。
ゆっくりと薄緑の成虫がでてきて、
ゆっくりと羽を伸ばして、
茶色いアブラゼミやら緑のミンミンゼミになって飛んでいく様子は
子どもにみせて損はないのだろうと思います。
損はないといえば、おたまじゃくしも。
いずれ手足が生えてくるとわかっていても、
足が生えてきた、というか体からはがれるようにぴろんと出てくる様子は
大人の目にもうろこがはがれるようでした。
もし、予備知識なしで魚として飼っていたのに手足がでてきた!
なんてことがあったら相当びっくりしただろうなと思います。
自然の奥深さを思い知らされたことでしょう。
そして蝶も思いのほか身近にいます。
まず、蝶が卵を産む木を調べます。
アオスジアゲハならミカン科です。
民家や小さな公園などのちょっとした緑に意外にみつかります。
その葉をよくみると、卵や幼虫が。
木の持ち主への配慮を忘れずに、枝ごと虫かごへ。
幼虫は、どんどん葉を食べます。
一枚の葉をねぐらにして、
移動してかたっぱしから食べて、
もとのねぐらの葉っぱに戻るのがかわいいです。
月曜日も火曜日も水曜日も
ひたすら葉を食べ糞をします。
腸に目と足が生えているような生き物です。
さかなクンなら蝶だけに腸なんです、と言ってくれることでしょう。
そしてある日、というかある時、さなぎになります。
ねぐらにしていた枝葉を離れ、ほうぼうを歩き出し、よきところで動きを止めます。
徐々にかたちが変わりなんとなくさなぎのかたちに近くなっていって…
ふと目を離した隙にさなぎ最終形になっていました。
劇的な変化がどのようだったのかは見逃しました。
そしてある日の夜、さなぎから中身がゆっくりとでてきて、
朝には蝶になっている姿には心おどるものがありました。
虫が苦手な大人(子の母親)も蝶は好きになったようです。
ので、虫かごにはもうひとつのさなぎが。
しかしある日、異変がおこります。
さなぎが黒くなり、死んでしまったかなと思ったら、
翌日虫かごの底に大きな白い虫がいました。
ハチの子のような、ポン菓子のような、大きなうじ虫?
中学生の頃にみたザ・フライ2の禍々しい記憶。
正直なところぎょっとしました。ぞっとしました。
調べてみると、寄生バエの幼虫のようでした。
蝶がさなぎになるのを待って食い破って出てくるそうです。
自然はやはり残酷です。
母親は捨てろと叫びます。
人間もやはり残酷です。
でも…それは大人の偏見というか差別というものでしょう。
はらぺこあむしがはらぺこ寄生バエになったからといって
捨てていいと子どもに教えるのはためらわれます…。
しばらくすると白いまる虫は小豆のようなさなぎになりました。
その間、蝶のさなぎからはもうひとつハエの幼虫がでてきました。
おのれら2匹もいたのか。
蝶のさなぎの体積よりも、
ハエの幼虫2匹分の体積のほうが大きい気がして不思議に思いました。
この幼虫は、閉ざされたさなぎの中で育ちました。
自分が卵であった頃の原子以外は、
蝶のサナギの原子だけでできているのでは?
どうして体積が増えてみえるの?
物質の密度はそれほど異なるもの?
また、蝶のさなぎの原子が組み替わり、
別の生き物として動いていることに、
生命ってなんなんだろうと考えさせられました。
このハエのさなぎはしばらくたっても成虫にならず、
死んでしまったのかもしれないね、と土に戻しました。
きれいなハエとなって飛び去ったか、
はたまた他の生き物の体の一部になったのか。
もともとの命を組み直して新しい命をつなぐ寄生バエは
様々な表現物のエッセンスを学び、商売へと変換させるコピーライターと、
重なるところがあるような…例えに無理があるような。
昆虫観察は発見が多いと思った夏でした。
いかがでしょう、まずはミカン科の木をみつけるところから。
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