コピーのチカラ
元上司であり、尊敬する先輩・都築さんからバトンが渡されました。
電通の小林大と申します。
ずっと、CMプランナー・コピーライターです。
ここ数年、広告のチカラが、少し希薄になっているとかなんとか、、、
そんな話題が仲間内でよく出ます。
そんなことないよ。いやいや、そうだよね。
という議論は一回置いておき、、、
今日は、僕が「コピーのチカラ」をまざまざと体験した
少し前のお話を書こうと思います。
まだ20世紀のこと。1996年頃(だったと思う)、
サントリー・カクテルバーのCMが大人気だった。
駆け出しCMプランナーの僕は、
好きを通りこして、コンテを書き写したりしていた。
出演は、俳優・永瀬正敏さん。
キャッチコピーは、「愛だろ、愛っ」。
CMはワンクールに1本?いや、もっと??
新しい味(ブルーハワイとかトムコリンズとか、、)が出るたびに、リニューアル。
毎回ユーモラスかつカッコイイCMが話題となっていた。
バブルはとっくに弾けていたものの、
まだ「よく働き、よく遊べ」な時代。
実際、多くの広告関係者が、毎日、深夜まで働き、その後、街へ繰り出していた。
ある深夜勤務の日だった。
仕事終わりに、同僚に誘われ、六本木まで繰り出し、
綺麗なお姉さんがついてくれるお店へと傾れ込んでいた。
でも、その日は、お姉さんとの会話は途切れ途切れ。
というのも、僕の耳が、完全に隣テーブルへ向いていたから。
おそらく「先輩・後輩」だろう二人組。
スーツはラメ入り。大きくあけたシャツからは、派手なアクセサリーがのぞいている。
髪色は、かなりの金。
水商売の営業?普段交わることの少ないタイプの二人だ。
先輩の声が、また、大きいからよく聞こえていたんだ。
先輩「お前さぁ、まだまだ、仕事わかってないよ」
後輩「、、は、はい、すいません」
先輩「お前のさ、営業としてのポリシー?そんなのあんの?」
後輩「、、、自分は、与えられた仕事を、まず全力で、、」
先輩「もう、全然、違う!、、」
そして、先輩はドヤ顔で続けた。
「営業で大事なのはさ『愛だろ、愛っ』」
鳥肌が立つとは、このことでしょう。
おそらくは、学校にいたら、あまり友達になっていないような、その先輩。
そんな先輩にまで届き、肉となっている、コピーのチカラ。
「コピーって凄い!いつか、いつの日か、僕も
こんな先輩に意気揚々と語らせるコピーが書きたい」。
そう思いながら、ずっと、コピーを、セリフを書いてきました。
あれから、ずいぶん時間が経ち、
生活様式が、仕事のやり方が、変わりました。
2024年12月23日21時すぎ。
六本木ではなく、自宅で、PCに向かっています。
あの日の先輩が夜な夜な語るようなコピー、セリフは、まだ書けていないように思います。
どうやら、CMプランナー・コピーライターで、やるべきことがあるようです。
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