コピーの半径
元々、理系出身というのもあるんですが
広告を作る作業は、どちらかと言うと
数学や算数の問題を解く感じに
似ているなと思います。
とくに図形問題とかに出てくる、補助線。
あれなんかは、まさにコピーだと思うんですよね。
今まで、ウニャウニャと悩んでいたものが、
たった一本の線で、鮮やかに解決に向かう。
目の前の霧が、パーッと晴れる感じ。
サッカーのスルーパスなんかも
似た種類の快感ありますよね。
一方で、僕の中には、コピーは
「円」のようなイメージもあります。
キャッチコピーは、その円周の一部です。
角度で言うと60度とか、90度くらい。
で、その残りの部分を描くのが
ボディーコピーというイメージです。
今で言うと、ステートメントかもしれません。
昔、算数の授業でコンパスを使って、
ノートに円を書きましたよね。
あの時、くるっとコンパスを回して
ピタッと元の円に重なった時、
めちゃめちゃ嬉しいじゃないですか。
いいボディーコピーが書けた時も
似たような感覚があります。
ああ、やっぱりこのキャッチコピーは
間違ってなかったんだという安心感。
そして、その線(言葉)が囲みうる
イメージの面積みたいなものが、
実体を持って見えてくる喜び。
あれ、思ってたより小さいな、とか。
逆に、思ってたより
大きな言葉(キャッチコピー)かも!
と気づいたり。
コピーには、
半径のようなものがある気がしていて、
例えば「そうだ、京都行こう。」は
とても半径の大きな言葉ですよね。
ただ、あまりにも大きいので
このキャッチコピーだけを取り出すと、
ただの線にも見える。ちょうど地平線が
まっすぐな線にしか見えないように。
(こんなの誰でも書けるじゃん、の誤解は
この半径の大きさ故だと思います。)
でも、「そうだ、京都行こう。」には、
しっかりとした中心があり
大きな大きな世界を美しく内包している。
ただの線なのか。
それとも、大きな円の一部なのか。
一見すると、この判断はとても難しい。
熟練したCDですら見誤ることもある。
そんな時、ボディーコピーや
ステートメントを書くことで、そのどちらかが、
見極めやすくなるんじゃないかと思います。
まあ、要はですね、若い諸君
最近あまり流行りじゃないかもだけど、
ボディーコピーちゃんと書いた方がいいぜ!
っていう、非常に迷惑な先輩風を
ビュービュー吹かせているわけですw
ああ〜、ヤダヤダ。
絵コンテ描けとか、ボディーコピー書けとか。
ずいぶん説教臭いコラムだこと。。。
1週間、すいませんでした。
さて、来週のコラムは、LA在住の曽原剛さん。
元博報堂の後輩で、今は日本とアメリカを
股にかけて活躍されています。
Appleの世界キャンペーンとかやってた人です。
曽原(以下、愛を持って敬称略)は、
新人の時からまあ落ち着きはらったクールな奴で、
入社してすぐに同期の森本千絵と組んで
準朝日広告賞とか、TCC新人賞とかとって
僕が先輩風を吹かすヒマもなかったんですが、
そんな彼の言葉で今でも覚えてることがあります。
それは入社面接で、どんなコピーが好き?
と聞かれたときの話で、曽原が答えたのは
どこかの英会話教室のコピーで、確か
「言葉の先へ」みたいなコピーだったと思います。
なんでそれにしたの?って聞いたら、
だって面接官は広告のプロなわけじゃないですか。
だから、学生の僕が広告論とかしても損になる
だけなんで、自分がこのコピーに触発されて
中国語を喋れるようになった話とかした方が
説得力あるし、可愛げあるじゃないですかぁ〜?
みたいな話をしていて、なんて可愛くない奴だ!!
と思ったのを今でも覚えていますw
でも、その後の彼の人生を見ていると
まさに「言葉の先へ」向かっているなと思うんです。
つくづく、有言実行の男だなと。
来週は、そんな曽原剛さんのコラム。
ぜひお楽しみに!
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