コピーライターとプライベート
私の場合はだいたい、歩いていると出る。
おならの話ではない。
コピーの話である。
学生さんたちに、
「コピーってどうやって思いつくんですか?」
という質問をされることが多いが、
自分自身を振り返ると、オフィスのデスクではコピーはなかなか思いつかない。
電車の中や散歩中、書店や美術館なんかで思いつく。
たぶん、頭の中の情報と、新しい情報が掛け算されて、ひらめくのだろう。
そして、今の時代であればスマホがあれば思いついたコピーはメモできる。
人によっては音声メモに吹き込んで保存してもいるそうだ。
つまり歩きながらでも走りながらでもコピーが書ける。
打ち合わせとプレゼンテーションがオンラインでも可能となれば、文字通り、コピーライターは「ノマドワーカー」だ。
※ノマドワーカーとは、遊牧民や放浪者を意味する「nomado」から、遊牧民のように決まった場所に滞在せず、仕事場を転々とする人。インターネットやスマホの普及によって生まれた新たなワークスタイル。
実は、ノマドという言葉がもてはやされるはるか以前からコピーライターはノマド的な働き方だった。
私も2007年からコピーライターなのでずいぶん長くノマド的なスタイルが働き方に染み付いている。ノマドスタイルを長く続けていると、仕事とプライベートの境界は曖昧になってくる。
リレーコラムのバトンをくれたアボットくんから、「プライベート」というお題をもらったのでそれに答えると、
もはやプライベートとお仕事は渾然一体、豆乳入りグリーンスムージーのようになっている。
そんな日常で、私が特に意識しているのは「初めての場所を歩く」こと。
初めての場所を歩くと、驚きと発見がある。思っていたものと違う。予想が裏切られる。これが快感なのである。
たとえば、
・オフィスからプレゼン先まで30分かけて歩いてみる
・出張でも旅行でも、ホテルにチェックインしたらとりあえずその周りを歩く
・住んでるエリアの地図を見ながら通ったことのない道を潰していく
毎回、知らなかったお店や建築物、看板や標識に出会う。その度に、私は小さく驚いてスマホで写真を撮ったりする。
傍から見ると不審者である。
出張でチェックインしたホテルを荷物を部屋に置いてすぐ出ていくので、ロビーに残っている同じ撮影クルーの人に見つかって「富田さん、どこ行くんスカ?」とよく言われる。
「散歩」
と答えると、
「え?散歩?」と聞き返され、
「いや、私は初めての道を歩くのが快感で〜」
と説明するとさらに怪訝な表情をされることが容易に予想できるので、
「あの、ちょっと、コンビニに・・・」
と言うことにしている。
そうして晴れて「初めての道」を歩いていると、なぜだか冒険している気分になる。
モンスターに出会ったり、宝箱を見つけたりするわけじゃないが、心拍数が少し高まり、視覚や聴覚が研ぎ澄まされる。
そんな頭でコピーを考えると何故か普段思いつかないような切り口のアイデアが浮かんだりするのだ。
みなさんもアイデアに困ったときに、ぜひやってみてください。
***
というわけで、本日のコラムでした。
明日も書けるといいな。。
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