コピーライターとリモートワーク
「時代なんかパッと変わる。 」
という秋山晶さん(1985年)の名コピーがあるが、
2020年代に入ったら、
広告の仕事の仕方が、パッと変わってしまった。
きっかけは新型コロナウイルスの蔓延をきっかけにした、
3密(密閉・密集・密接)の回避だった。
とはいえ、
広告業界でも当初リモートワークへの反論は根強かった。
「ほら、やっぱり、顔を合わせて打ち合わせしないとニュアンスの深いところが大事な仕事だから」
「クライアントの顔色ってのもあるし、そういうのが分からずに見積もり交渉というのは難しいんだよね。やっぱし飲みながらさぁ」
「実際に印刷してみてプレゼンしてみないと、ビジュアルのインパクトはわからないんじゃあないでしょうか」
リモートでは広告の仕事はうまく行かないという理屈は、ショッカーのように無尽蔵に繰り出された。
結果はどうだったか。
あっという間にリモートワークになった。
その結果、広告制作業における伝統的な(深夜の)会議室での長時間会議というのが、ほぼ絶滅したのである。
めでたし。めでたし。
さて、コピーライターの仕事はどうなったか。
私もオンラインでコピーの打ち合わせ・プレゼンテーションを何度もした。
そして、ちょっとした違和感を覚えた。
あれ?
オフラインでやってるときよりコピーがスムーズに決まる気がする。
そんなわけあるだろうか。
あれだけオフラインの場で決まりにくかったコピーが、
オンラインだとすぐ決まるなんて。
・・・あれ、また決まったぞ。
おかしい。
ということで、私は理由をいくつか考えてみた。
【理由の仮説①】画面をコピーが占有できる
部屋に皆がひしめいて見るA4用紙一枚のコピーより、PCの画面を一瞬でも占有できるコピーのほうが存在感がでかいんじゃないかという話である。
「野球中継をテレビで見ると選手の顔まで見えるのに、野球場では選手が米粒にしかみえないアレ」と同じ効果が、実は起こっているのではないか。
【理由の仮説②】ヤジが飛んでこない
リアルの打ち合わせでは、「うーん」とか「なんか違うなぁ」という外野のヤジがコピーの評価に影響を与える。オンライン会議だとそういった声はほぼ聞き取れないので、意外とネガティブ票が入らなくなる可能性はあるのではないかという仮説。
【理由の仮説③】会議の裏で「打ち文字」のコピーが書ける
会議室で打ち合わせしながらコピーを書くとプリントアウトがしにくくどうしても手書きになってしまう。オンラインMTG上だとPPTなどに打ってみせることで印刷文字のコピーがその場で書けて見せられてしまう。
【理由の仮説④】紙に書かれると冷静になる
昔から言われているもので、ディスプレイだと誤字に気づかないのに、印刷すると誤字に気づくというもの。
参考)「紙」に印刷すると間違いに気づく理由
というふうに、結構思いつくのである。
コピーライターは、
リモートワークのほうが向いているかもしれない。
***
というわけで今日のコラムでした。
また明日お会いしましょう☻
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