リレーコラムについて

コロナから10年後の世界 A

日下慶太

こんな時にバトンが回ってきてしまった。コロナとは関係のないバカ話などを書くのがいいのだろう。しかし、思い浮かばない。コロナのことで頭がいっぱいだ。ということで、いっそ、コロナについて書いてみる。今日から5日間、コロナから10年後に想定される何種類かの世界を描いてみる。まあ、これは自分が未来に向けて何をすべきか整理するためでもある。それでは1つ目の世界を始める。

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コロナウィルスが世界で猛威を振るっている。ワクチンは開発されたものの、ウィルスは変異を繰り返し、未だ有効な手はない。多くの人が死んだ。毎年冬になると感染者が増えるため、全面的にロックダウンをする。まるで動物が冬眠するように、町は眠る。こんなサイクルが2020 年からずっと続いている。

失業や倒産が相次ぎ、恐慌が起きた。銀行預金は封鎖されインフレが進んだ。日本では10万円札が発行され、一円玉はアルミ資源として回収された。世界は暗澹としていた。各国は中国に賠償金を請求した。「スペイン風邪の時、スペインに賠償金を請求したのか」と中国は頑なに拒否をした。欧米諸国は圧力をかけて遂に戦争を仕掛けた。ロシアは中国に味方した。米英仏独と中露の全面戦争である。『コロナ戦争』と呼ばれている。本当の理由は、中国を台頭させまいとコロナを理由に中国を潰したいから、戦争でひと儲けしたいからだとも言われている。日本もアメリカの同盟国として参戦した。前線となった日本には中国や北朝鮮からミサイルが飛んできた。大都市は壊滅的被害を受けている。徴兵制が敷かれ、若者は戦地に行かなくてはならない。

53歳と若くない私は、兵隊となることはなかった。しかし、職歴から軍のPR活動に従事することとなった。私が過去に手掛けた商店街のポスターのようなものを作ってほしいと、軍から依頼を受けて、兵士ひとりひとりのポスターを作るプロジェクトをしている。今から兵士の取材と撮影だ。

戦争の死者はコロナウィルスの死者を越えた。戦地では衛生状態が悪いためオーバーシュートがたびたび起こっている。こんな戦争に加担している自分の愚かさは十分理解している。しかし、致し方ない。食べていくためだ。仕事があるだけマシだ。早く戦争が終わって欲しいとはもちろん思っている。

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