リレーコラムについて

シュゲン

林潤一郎

30歳から36歳までのあいだ、林ライスとして働いていました。
それまでの人生、俗に言う「師匠」がいなかった僕が、
心の底から師と仰いだ小山薫堂さんに頂いた(かっこよく言うと)作家名みたいなものです。

初めて一人で書かせてもらった企画書を「こんなつまんない企画して何とも思わないの?」
と呆れられるところからよくもまあしがみついていけたもんだと、いま振り返っても思います。

そんな僕がいまだに守っている教えみたいなことが幾つかあるのですが、
みなさんにおすそ分けしたい、今日からできる修験。

それは…

「しあわせ貯金」です。

ある日、薫堂さんに言われました。「ライス、しあわせ貯金してる?」と。
誰かが見ている時にゴミを拾うのは当然。
誰も見ていない場所で黙ってゴミをポケットにしまうことができるか?
汚れるし、面倒くさいし、褒められることもないけど、
徳を積むことはいつか自分のためになるよ。
貯金のつもりでやりなさいと教えてくれました。

ちなみに薫堂さんの理想の職業は天使。
誰かがしあわせになるのを応援して、うれしそうにしている様子を
高層ビルの屋上に腰掛けながら見ている。そんなイメージだそうです。
見返りを求めずに徳を積むことを大切にしている、薫堂さんらしいたとえですね。

別の方がやっている修験でも、真似していることがあります。

ケトルの嶋浩一郎さんや作家の岸田奈美さんが毎日つづけているという「まいにちメモ」です。
はじめは嶋さんが書籍で紹介していた「毎日気になったこと、気づいたこと、
ひらめいたことをナンバリングして手帳に書き溜めている」のマネから始まり、
最近は岸田奈美さんの「事実を毎日メモしたら、50文字の視界が7万文字の世界になった」に
ピボットしています。作家としてネタになりそうだと思ったことを、
自分の感想もつけて書き留めているのだそう。
ただメモするよりも手間がかかるのですが、
後で見返した時になぜ自分がそういう環状になったのか?
はアイデアの強力な援護射撃になるんです。

そんなこんなで僕の修験はひそかに続いています。
みなさんが続けているもの、これいいよ!ってものがあったらぜひ教えてください。

…勝手に修行みたいに紹介してしまいましたけど、ご本人たちはそんなつもりすらなく、
ナチュラルにやっていることですよね。もし読んでいたらごめんなさい。

今日も読んでいただきありがとうございました。

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