リレーコラムについて

シンギュラリティとベーシックインカム

鶴田茂高

 

僕が初めてコピーライターの名刺を持った頃は、まだ携帯電話は持っていなかったと記憶しています。

親父の魔法瓶でできたお弁当箱みたいな(不動産業の方々がよく持っていた)でっかいケータイや自動車電話はトレンドヒッターとして存在はしていましたが。

 

PCもまだカセットテープでデータを記録していたような時代で、

Macもモノクロ画面のクラシックという筐体(100万円以上の超高級品)でした。

もちろんインターネットなんて言葉さえない、まだ黎明期。

 

月9の「東京ラブストーリー」では、待ち合わせの時間と場所のすれ違いによってリカとカンチの切ない物語が展開していましたし(スマホがない時代ですね〜)、

普段の仕事では、プレゼンでさえまだ手書きの書類で行なっていました。

ただ、当時、東芝のルポっていうワープロが使えた僕は、所属した社内でいまでいうところのITリテラシーの高さみたいなものを誇っていました。

 

やれやれ…ため息が出そうな昔々なお話。でもたかだか30年ちょっと前の話。

技術の進歩はほんとうに日進月歩、気がつけばクルマは自動運転に変わり、

あらゆる産業においてAI化・ロボット化が進み、少なくとも肉体的な労働の大半は機械が行なってくれる時代がまもなくやってくることでしょう。

 

20年くらい前に大手代理店に登場した「コピーロボット」は単語の順列組み合わせのレベルから、

最近では随分と進化し、一見ではコピーライターのコピーなのかAIのコピーなのか判断も難しくなってきました。

 

人間が機械にとって変わられる。ちょっとネガティブなシンギュラリティなんて思想もありますが、僕は前向きに捉えてもいいんじゃないかと思います。

 

最近、「がんばらないことをがんばるって決めた。」(考えるOL著)という書籍(Twitterのまとめ)が話題になっています。
内容の一部を紹介すると「今日も会社に行けなかった。まあいいか。生きてるし。」
15万件の「いいね」を獲得しているこういう発想は人間ならではじゃないかと思うんです。
自分の思うことや感じることを、文章や音楽や芸術作品やカラダを使った動作で表現することは
人間が行うからそこに共感や感動が生まれ、各人が幸福感に浸れるんじゃないかと思います。

そんな時代がもうすぐそこにあるって感じるとちょっとワクワクします。

 

と同時に(まだコロナ禍で悠長な考えを巡らせる場合じゃないのかもしれませんが)、
コロナって人間の経済活動を変えるいい機会だったんじゃないかと思っています。
その一つの方法として「ベーシックインカム」の導入を真剣に考えていました。

 

人間は自分がしたいことをして生きる。

 

そのためには各人の経済的な基盤が必要で、それを国というか世界経済が担保してくれる、というふうに僕は捉えています。
具体的には月額10万円程度@1人の支給と住居と生活インフラの保障。

これが世界同時に叶うようになればと真剣に願っています(どうすればいいのか方法論はわかりませんが:汗)。

そうすればきっと各人がほんとうにしたいこと(仕事?)ができる。きっともっと生産性も上がると思う。
極端にいえば、現在「仕事」と言われる作業をしたくない人は、一日中寝ていたい人は寝ていてもいい。

生まれてきたことだけで人間は価値があるって発想です。

衣食住にまつわる基本的な経済活動(賃金や対価が得られる行為)以外、遊休知にあたる行動、
例えばダンスでも歌唱でもスポーツでも演技でも、空想や妄想でもいい、
自分のしたいことをした結果、誰かを笑顔に変えられたら「スマイル」って単位のポイントを享受できる。

そんな世界が広がっていたら…

 

人間は自分がしたいことをして生きる。

 

荒唐無稽かもしれません。夢物語かもしれません。
僕は経済学者でもないし、IQも凡人レベルですから、難しいシステム構築には不向きですが、
理想を掲げることくらいは許してほしいと思っています。

まぁ、僕が生きているうちにはそんな世界が実現しないのかもしれませんが(笑)。

 

僕が生きているうちといえば、今回のコラムは18年ぶりの執筆となりました。
もし同じインターバルだと、次回の執筆では77歳・喜寿です。
人生100年時代ですが、生きてるかなぁ(微笑)。
もちろん第3回目の執筆依頼があれば、喜んでお受けしますよ。

ということで、変則的な投稿でしたが1週間、ありがとうございました。

さて、次週は境治さん。
僕にとっては30年来の喧嘩友だちです(爆)。
実は境さんは、そもそもこのリレーコラムを作った人で、なんと第1回の筆者です(TCCのWEBサイトの構築にも尽力してくれた素晴らしい幹事でした)。
20年近く続いてるコラムってすごいなぁ、きっと彼も感慨深いことでしょう。

境、よろしくです!(カラオケ行こう!)

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