リレーコラムについて

タテ落ち

飛田ともちか

はい、はじまりました。

 

ヴィンテージ古着をコピーライター視点で楽しむために、
古着のディテールに付けられたネーミングから
その魅力を紐解いていく誰得コラム。

 

記念すべきひとつ目は・・・
これは外せないですね。

 

「タテ落ち」 です。

 

もしも古着の教科書があったなら、
1ページ目に出てくることでしょう。

 

もしVCC(ヴィンテージコピーライターズクラブ)があったなら、
最もエポックメイキングなネーミングとして殿堂入り。
それを書いたコピーライターは満場一致で
その年のVCC賞を受賞したことでしょう。

 

そのぐらい、基本でありながら、
重要なディテール名「タテ落ち」。
ヴィンテージデニム特有の、
縦にスーーーッと線が入ったような
表情の色落ちのことを言います。

 

お肉で言うところのサシ。
マグロで言うところのトロ。
ゆえに、これでご飯ぜんぜんイケます。

 

もちろん、
デニムの色落ちはみんな違ってみんないいのですが、
この「タテ落ち」のかっこよさだけは別格です。
しかるべき年月を経た、選ばれしデニムにしか
たどり着けない風格がそこにはある。

 

気になった方はぜひ、
「デニム タテ落ち」
で検索してみてください。
(ビビッ!ときたあなたはこちら側の人間です、ようこそ。)

 

さて。

「タテ落ち」のカッコ良さは今日はまぁいいとして、
このネーミングがすごいのは、
単なる労働服のダメージにすぎなかった色落ちを、
みんなが欲しがる憧れのディーテールに変えてしまった点にあります。

 

生地の劣化を美しいと感じる ”侘び寂び” の心。
それが、ヴィンテージデニム特有のものであると気がついた観察眼。
そこに名前を付けて価値を顕在化させるという商売人魂。

 

・・・スタンディングオベーションでしょう。

 

実際、このネーミングによって権威づけられた
ヴィンテージデニムの価値は暴騰。
1970年代までユーズド作業着として二束三文だったものが、
80年代には数万円、90年代のヴィンテージブームに乗って数十万。
今では数千万するデニムもあると言います。

 

なんというパラダイムシフト。

 

ちなみにヴィンテージデニムという価値観自体が日本発祥で、
タテ落ちは「TATEOCHI」として海外でも通じるらしいです。
すっげーーーー。

 

それでは、明日に続きます。

NO
年月日
名前
5805 2024.11.22 中川英明 エキセントリック師匠
5804 2024.11.21 中川英明 いいんですか、やなせ先生
5803 2024.11.20 中川英明 わたしのオムツを替えないで
5802 2024.11.19 中川英明 ドンセンパンチの破壊力
5801 2024.11.18 中川英明 育児フォリ・ア・ドゥ
  • 年  月から   年  月まで